インタビュー – GMO Developers https://developers.gmo.jp 「GMO Developers」は GMOインターネットグループの開発者向け情報をお届けしています。 Tue, 03 Jun 2025 02:35:50 +0000 ja hourly 1 【インタビューVol.3 後編】変化を起こす異物になれ。デザイン文化を育て続けるという覚悟 https://developers.gmo.jp/cultures/interview/65133/ Mon, 02 Jun 2025 05:36:28 +0000 https://developers.gmo.jp/?p=65133

GMOインターネットグループが今年4月から開始する、年間を通してデザイン・クリエイティブの発信を強化する施策「Creator Synergy Project」の取り組みとして、本ブログでもデザイナー・クリエイターへのインタビュー連載をスタートしました!
 
【前編】「GMOイエラエらしさって何?」バラバラな組織を束ねる共通言語を求めてに続き、後編ではGMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社の大倉太一が取り組んだ、ブランドコアの策定と社内外への浸透施策にフォーカス。
「変化を仕掛ける異物=ウイルス」として挑戦を続けるその姿から、デザイン文化を育てるリアルと覚悟を紐解きます。

「GMOイエラエらしさ」って何?競合分析で方向性を探る

—社内ヒアリングを通じて現状が見えてきたあと、次にどのようなステップに進まれたのでしょうか。

大倉

競合分析に取り組みました。目的は、自社の絶対的なブランド像を考えることに加えて、「他社と比べて自分たちはどこに位置づけられるのか」という相対的な立ち位置を明確にすることでした。競合がどのような価値観や言葉で自社を表現しているのかを把握しなければ、自分たちの目指す方向も定まりません。

大倉 太一|GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社 ブランドマネジメント室 室長

情報科学芸術大学院大学(IAMAS)でメディア表現を研究。卒業後は東京のデザイン事務所に入社し、Web・グラフィック・映像分野の制作に従事。アートディレクターとして6年間活動したのち、「OHAKO」へ転職。同社が「IERAE Security」との合併を経てGMOインターネットグループにジョイン。現在は、GMOイエラエにおけるブランド戦略の策定からクリエイティブディレクション、グループ横断イベントのビジュアル開発まで幅広く手がけ、組織内外に向けたブランド価値の浸透をリードしている。

大倉

サイバーセキュリティの会社は日本国内にも意外と多く、14社ほどピックアップできました。各社について、MVVや提供サービス、コーポレートサイトのトーンなどを徹底的に調査・整理。そのうえで、社内ヒアリングで得られた声と突き合わせながら、「自分たちはどこを目指すべきか」というブランドコアの構想に入っていきました。

それができたら、いよいよ絶対的な軸をつくるフェーズです。外からの視点ではなく、自分たちの内側から湧き出る価値観や思いを言語化していくプロセスに入りました。

当初は、一般的なMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の策定を考えていたのですが、Googleの事例などを参考にするなかで、「カルチャー」まで含めて再設計すべきではないかという話になって。最終的には、パーパス、ビジョン、バリュー、カルチャーの4要素を定めることにしました。

パーパスからカルチャーまで。定まった4つの軸

—ブランドコア(パーパス、ビジョン、バリュー、カルチャー)の構築にあたって、どのように議論を重ね、最終的な形へとまとめていったのでしょうか?

大倉

まずは、僕とブランドコンサルの2人でブランドコアのたたき台をつくり、それをもとに経営層との議論を重ねていきました。検討会議には役員クラスを中心に10数名が参加し、予想はしていたものの、意見はすぐにはまとまりませんでした。

何度も会議を開いて丁寧に説明を重ねましたが、議論はなかなか収束せず、最終的には牧田が方向性を示し、チームとしても腹落ちするかたちでまとまりました。
こうして定まった新しいブランドコアは、以下の通りです。

GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社 企業理念

大倉

Purposeは、僕たちGMOイエラエの思いを端的に表現しています。議論のなかでは「サイバーセキュリティ」という言葉を入れる案も出ましたが、もともとセキュリティ以外の領域にいた人たちが距離を感じてしまう懸念があったため、誰が見ても共感できる言葉として、あえて使わないことにしました。

一方、Visionはかなりセキュリティ寄りの表現にしています。ここは会社として中長期的に目指す未来像を示す部分なので、ある程度の具体性を持たせることが必要だと考えました。

Valueについては、「ワークプレイス」「パーソン」「クオリティ」「プライス」の4つの要素に分けて図解的に整理しました。これは牧田が以前から大切にしてきた考え方で、社内でもすでに暗黙的に共有されていたものでしたが、今回あらためて正式に言語化し、全員が共通して理解できるようにしました。

最後のCultureは、イエラエ(IERAE)の5文字の頭文字を用いて構成しました。重視したのは、とにかく覚えやすいこと。どんなに良いブランドコアを定めても、日々の業務で思い出されなければ意味がない——そう考えて、社内の人たちが自然と馴染めるような形を目指したんです。

—それを展開していく方法として、どのような取り組みを行われたのでしょうか。

大倉

まずは、ブランドコア全体を1冊にまとめた「カルチャーデック」を制作し、社内のパートナーに展開しました。これは新しく入社してくださる方々にも配布するもので、「まずはこれを読めば、GMOイエラエの考え方がわかる」というツールとして機能しています。

表紙に込めたのは、「さまざまな才能が一つの方向に向かって進んでいく」イメージ。牧田がよく、「各分野で尖った人たちが集まって、強い会社をつくっていく」と話していたのですが、その理想像をビジュアルで表現したいと考えました。

大倉

もう一つ、ブランド浸透のための施策として気に入っているのが「カルチャーステッカー」です。GMOイエラエのカルチャー5つをそれぞれモチーフ化してデザインしました。

IT業界では、社名やロゴをあしらったステッカーを配る文化がありますが、ちょっとした遊び心を加えたデザインにすることで、気軽に配れて、話題になると考えました。いまでは「GMOイエラエらしさ」を象徴するアイテムのひとつになっています。

GMOイエラエの5つのカルチャーをモチーフにした、ブランド浸透のためのオリジナルステッカー。

ブランドを軸に、挑戦と変化を育てていく

—ブランドコアについての、社内での手応えは?

大倉

苦労して策定したこともあり、社内では9割ほどが「これはいい」「納得できる」と前向きに受け止めてくれました。残る1割ほどは当初「仕方ないか」と感じていたかもしれませんが、今では自然と受け入れてもらえています。

とはいえ、「これで完成」といった感覚はまったくなく、むしろ「ここからが本番だな」という意識のほうが強かったですね。ブランドは一度決めたら終わりではなく、繰り返し伝え続けないと簡単に忘れられてしまう。だからこそ、言い続ける仕組みを整えようと考えました。

その一環として現在は、毎月開催している全社会の中で、「今月はこういう施策があった」「こんなふるまいが見られた」といった事例を、カルチャーの項目と結びつけて紹介する時間を設けています。それも僕一人ではなく、各事業部のトップが紹介役を担うことで、組織のさまざまな場所から自然に「言葉が響く」状態ができてきたと感じています。

こうした取り組みを続けるなかで、組織としての方向性の不明瞭さが次第に解消され、これまであった混乱がすっと収まっていく感覚がありました。「軸ができた」という安心感がもたらした効果は非常に大きかったと思います。

—社外へのブランディングについては、いかがでしたか?

大倉

ブランドコアを策定したことで、社外に向けた取り組みも一気に動き出せるようになりました。たとえばGMOイエラエとして主催した「GMO サイバーセキュリティカンファレンス IERAE DAYS 2023」や、GMOインターネットグループ全体としての「GMO Developers Day」など、認知拡大を目的としたイベントを開催する土台が整ったんです。

なかでも特に印象深いのが、最初に手がけた「IERAE DAYS 2023」です。ブースの設計、グッズやLPのデザインなどを一通り担当しました。良くも悪くも「GMOっぽくない」デザインだったので、反応が気になるところでもありましたが、社内では非常に好評で、「これぐらい自由にやっていいんだ」と感じられた出来事でした。

大倉

2024年も「IERAE DAYS 2024」を開催し、昼の部に加えて、夜の部として学生やエンジニア向けのネットワーキングイベント「IERAE NIGHT 2024」も実施しました。ここでGMOイエラエの文化を直接伝えることができたことが功を奏し、インターンとして5〜7名ほどの学生が参加してくれるようになりました。
今の時代、学生インターンの獲得は決して容易ではありませんが、「マッチする人たちが自然と集まってくれる」ようになったのは、ブランドコアという土台がしっかり機能している証拠だと感じています。

【開催レポート】「サイバーセキュリティカンファレンスIERAE DAYS2024」を開催しました!

—たしかに、「IERAE DAYS」のデザインには、従来のGMOらしさとは違う印象もあります。

大倉

そうなんです。僕は仕事は真面目にやりますが、もともとやんちゃな性質というか、変化を起こしたいタイプなんですよね。「これやったら怒られちゃうかな」と思いつつも、どうしても挑戦してみたくなる。ちょうどその頃、GMOインターネットグループとしても「クリエイティブでNo.1を目指す」という方針が掲げられたタイミングだったので、「それなら、変わる覚悟もセットで持ってほしい」と思いながら取り組んでいました。

「変化を起こしたい」——そんな気質が、ブランドづくりの原動力になっている。

大倉

もちろん、挑戦すればするほど反応の振れ幅も大きくなります。例えば、「GMOインターネットTOWER(世田谷ビジネススクエア)」の「GMOイエラエSOC 用賀」のデザインは熊谷代表からも「これはいい!」と高評価だった一方で、「IERAE DAYS 2024」は「GMOっぽさがない」と言われてしまいました。少し攻めすぎた部分があったのかもしれません。

挑戦が形になった、GMOイエラエSOC 用賀のビジュアル設計。

大倉

でも、そうした挑戦は誰かがやらなければ始まらないと思っています。枠に収まってばかりでは、No.1を目指すだけのエネルギーは生まれない。

だから僕は、自らを異物のような存在として勝手に位置付けています。組織という有機体のなかに入り込み、あえて異物として作用することで、内側から変化を起こしていきたい。そんな気持ちで動いていますね。

No. 1を目指し、「変化の種」をまき続ける

—さまざまな取り組みを経て、社内にはどのような変化が生まれましたか?

大倉

ブランドコアを中心にした取り組みを続けるなかで、社内からの信頼が確実に高まってきたと感じています。以前は社内にデザイナーがいることすらあまり認知されていない状態でしたが、今では「相談できる」「一緒に考えてくれる」と思ってもらえるようになり、依頼も明らかに増えています。

そのぶん、正直なところ手が回りきらない部分もあります(笑)。たとえば現状のコーポレートサイトなどは、まだ過去のデザインのままで、新しいブランドイメージには切り替えられていません。これから少しずつ刷新していくフェーズに入っていく予定です。

—今後に向けて、GMOイエラエとしてはどのような組織を目指していきたいと考えていますか?

大倉

まずは、仲間を増やすことですね。現在、GMOイエラエのデザイン組織は6名体制ですが、今後は5年かけて20名規模の組織にしていきたいという思いがあります。

僕は最近、デザイン組織を「行政・立法・司法」に例えて考えています戦略を立てたりルールを作る“立法”、現場で実行していく“行政”、ブランドを監督・維持する“司法”。この3つがそれぞれ機能することで、安定した強い組織がつくれる、と。

今は僕がそれを全部担っているような状態ですが、本来はそれぞれに責任者がいた方が良い。特に僕は“行政タイプ”で、現場で手を動かす実行部隊なので、戦略やマネジメントを担ってくれる人が仲間に加わってくれると、チームとして大きな力が発揮できそうです。

—GMOインターネットグループに所属するデザイナーとしての立場では、どのような思いがありますか?

大倉

GMOインターネットグループには、グループとしてのブランド方針・ブランド戦略が存在し、これだけの規模の企業を作り上げてきた一助となっています。今やグループ104社、7,500名を超えるパートナー(社員)が所属する当社は、世の中に対して素晴らしいデザインとともに素晴らしいサービスを生み出し、価値を提供できていることは僕自身も十分に理解しています。

そのうえで、更にその先を見据えたときに、もっとデザイナーが表現の幅を広げられるような環境づくりにも貢献していきたいと考えているんです。

—なるほど。過去にGMOインターネットグループとしてのブランドのガイドラインをアップデートした事例はあるのでしょうか?

大倉

GMO Developers Day」というイベントのロゴをきっかけに、グループロゴのガイドラインが実際に変更された事例があります。

もともとGMOインターネットグループのブランドガイドラインでは、「黒背景に白い文字・または青い文字のロゴ表記」は使用NGとされていました。しかし、本イベントの先進的で洗練された世界観を表現するにあたり、ネガティブ表示ロゴの表現について、ブランドマネジメントを担うGMOインターネットグループの担当者に提案し、協力してもらえることになりました。

この案を最終的にグループ代表の熊谷に担当者からプレゼンし、ブランドの方向性としての意義を共有したところ、結果的に承認され、GMOインターネットグループのブランドに関するガイドライン自体がアップデートされることになったんです。
この一件は、GMOインターネットグループにおいても、目的や文脈に応じてデザイン表現が進化していけるという前例になったと感じています。

表現の挑戦が、ブランドのルールそのものを変えるきっかけとなったGMO Developers Dayのデザイン

—GMOインターネットグループという大きな組織の中で、デザインに携わる立場として、どのような役割や可能性を感じていますか?

大倉

GMOインターネットグループの一員として、僕には「この場所をもっとクリエイティブな土壌にしたい」という強い思いがあります。挑戦的なデザイナーが、より自分らしく力を発揮できるような空気をつくりたいし、結果として「GMOインターネットグループ=デザインに強い組織」というイメージを社内外に根付かせたいんです。

実際、「クリエイティブNo.1」というビジョンに共感して、「もっと自分も挑戦してみたい」と思ってくれている人も、きっといると思います。でも、その一歩を踏み出すのって簡単じゃないですよね。だからこそ僕は、常識にとらわれない表現やアプローチを仕掛けて、「こういうのもアリなんだ」と思ってもらえるきっかけをつくっていきたいんです。その積み重ねが、今いる仲間の背中を押し、まだ見ぬ仲間を惹きつける力になるんじゃないかな、と。

能力あるデザイナーが自然と集まり、「GMOインターネットグループで働くのって面白そう」と思ってもらえるような環境をつくる。その実現に向けて僕ができるのは、GMOインターネットグループにおける「デザインの新しい顔」をつくっていくことです。
いつか「GMOインターネットグループといえばデザインだよね」と言われる日まで、これからも「変化の種」をまき続けていきます。

デザインの力で組織を変えていく。その想いが原動力になっている。

▽インタビュー前編はこちらから
【インタビューVol.3 前編】「GMOイエラエらしさって何?」バラバラな組織を束ねる共通言語を求めて

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【インタビューVol.3 前編】「GMOイエラエらしさって何?」バラバラな組織を束ねる共通言語を求めて https://developers.gmo.jp/cultures/65071/ Mon, 02 Jun 2025 05:35:52 +0000 https://developers.gmo.jp/?p=65071

GMOインターネットグループが今年4月から開始する、年間を通してデザイン・クリエイティブの発信を強化する施策「Creator Synergy Project」の取り組みとして、本ブログでもデザイナー・クリエイターへのインタビュー連載をスタートしました!
今回登場するのは、GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社でブランドマネジメント室を率いる大倉太一さん。
広告・UI/UX領域でのキャリアを経て、GMOイエラエの“ブランドの軸”を再構築しています。
多様なバックグラウンドをもつ組織に、どう共通言語を根づかせたのか。その背景と戦略に迫ります。

制作の楽しさに目覚めた学生時代

—大倉さんのものづくりへの関心は、どのようなきっかけで芽生えたのでしょうか。

大倉

最初は服作りからでした。小学生の頃から手芸が得意で、手先を動かすのがとにかく好きだったんです。高校に入ってからは、家にあったミシンを使って独学で服を作るようになりました。型紙まで自分で引いて、結構本格的でしたね。高校は普通科だったのですが、美術科が併設されていて、廊下を歩くたびに展示作品が目に入ってくるなど、日常のなかにアートが自然と存在している環境でした。

大倉 太一|GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社 ブランドマネジメント室 室長

情報科学芸術大学院大学(IAMAS)でメディア表現を研究。卒業後は東京のデザイン事務所に入社し、Web・グラフィック・映像分野の制作に従事。アートディレクターとして6年間活動したのち、「OHAKO」へ転職。同社が「IERAE Security」との合併を経てGMOインターネットグループにジョイン。現在は、GMOイエラエにおけるブランド戦略の策定からクリエイティブディレクション、グループ横断イベントのビジュアル開発まで幅広く手がけ、組織内外に向けたブランド価値の浸透をリードしている。

—大学院修了後は、どのようにキャリアパスを歩み始めたのでしょうか?

大倉

正直なところ、当初は就職に強い関心があったわけではありませんでした。ただ、「そろそろ働かなければ」という思いもあり、大学院時代の知人から紹介を受けて、東京のデザイン事務所に入社しました。Webやグラフィックを中心に、広告系のデザインを手がけている会社でしたね。

大倉

入社後は、とにかくがむしゃらに働きました。最初の6年間はデザイナーとして、その後の6年間はアートディレクターとして、大手企業の広告案件などに携わりました。今では考えられませんが、当時は週に2日帰宅できればよいほうで、ほとんど会社に泊まり込んでいました(笑)。

だけど、そんな生活もまったく苦ではなく、「つくること」そのものがとにかく楽しかった記憶があります。教育もいわゆる職人的なスタイルで、先輩の仕事を見て学ぶという環境でしたが、自分にはとても合っていたと思います。

当時在籍していたデザイン事務所のメンバーとの集合写真

—その後、転職を決断されたのはどのような理由からだったのでしょうか。

大倉

きっかけは、「同じことの繰り返しになってきたな」という感覚でした。12年間がむしゃらに働いてきて、ふと、ひとつのサイクルが終わったような気持ちになって。もっと違う領域にも挑戦してみたいという思いが、次第に強まっていったんです。

「新しいことに挑戦したい」——転職を意識しはじめた当時を振り返る。

大倉

ちょうどその頃、UI/UXデザインに関心を持つようにもなっていました。Webデザインに近い領域でもあり、大学院時代に取り組んでいたインタラクティブな表現とも地続きで、「これは面白そうだな」と感じていたんです。そこで、新たなチャレンジをするために入社したのがOHAKO(株式会社OHAKO)でした。

新たな環境では単なるプレイヤーではなく、チーム全体を動かすハブ的な役割に挑戦してみたかったので、ディレクター職として入社しました。ただ正直なところ、「自分にはあまり向いていないかもしれない」と感じることもありました(笑)。お客様とのやり取りやチーム内の調整など、コミュニケーションの比重が大きく、自分の得意領域とはやや異なっていたんです。

とはいえ、新しい挑戦には価値がありました。苦手意識があったとしても、少しずつ耐性がついていったことで、「挑戦すればやれることは増えていく」という手応えを得られたのは、大きな学びだったと思います。

サイバーセキュリティ企業への統合と葛藤

—そこからGMOインターネットグループへとジョインした経緯は?

大倉

そこの経緯は多少複雑になるのですが、このあとの話にもつながるので、少しだけ説明しておきたいと思います。

OHAKOは当時、ココン株式会社というグループに所属していました。その後、同じグループ内にあった株式会社IERAE Security(イエラエセキュリティ)を中心に、いくつかの関連会社が段階的に統合されていきました。

そのなかで、事業の主軸がサイバーセキュリティ領域へと大きくシフトし、さらにGMOインターネットグループへのジョインが決まったことで、現在の「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社」(以下、「GMOイエラエ」と表記)という社名に至った、という流れでした。

—合理性あっての合併・ジョインとはいえ、大倉さんをはじめOHAKOのメンバーにとっては、突然の出来事でもあったのでは?

大倉

はい。それまでデザインを主軸にしていた環境が、ある日を境に「サイバーセキュリティの会社」になったわけですから、現場には当然、動揺がありました。特にデザイン領域でキャリアを築いてきた人のなかには、「もうここには自分の居場所がない」と感じ、離れていった仲間も少なくありませんでした。

けれども僕自身は、むしろ「変わっていくこと」そのものに面白さを感じていました。そもそも転職も、変化を求めて選んだ道でしたし、自分ではコントロールできないほど大きな流れのなかに身を置くことって、そう何度もあるものではない。「この変化に一度乗ってみよう」と思ったんです。1社目での12年間で根性もスキルも鍛えてきたし、合わなければまた別の道を考えればいい。そのくらいの気持ちでした。

—ご自身の意思とは異なるかたちで、なかば「転職」するようなかたちでのジョインだったと思いますが、GMOイエラエでの最初の環境はいかがでしたか。

大倉

正直に言うと、全てが整った環境とは言い難かったです。そもそも当時のGMOイエラエには明確なデザイン組織が存在しておらず、僕らデザイナーがいわば放り込まれるようなかたちで加わったんです。社内のデザイナーは僕を含めて3人。200人規模の組織に対して、デザインリソースとしてはあまりにも小規模な体制でした。

さらに、担当業務の性質もがらっと変わりました。OHAKO時代はクライアントワークが中心でしたが、GMOイエラエに来てからは基本的にインハウス、つまり社内向けのデザイン業務が主軸になります。
ところが、当時のGMOイエラエには、会社としてのブランドや思想の軸がまだ定まっていなかった。そのため、「このバナーを作っておいて」といった表層的なビジュアル制作の依頼はあっても、どのような方針に基づいて作れば良いのかが分かりませんでした。

場当たり的な制作を続けるなかで、「この会社におけるデザインの役割って、これでいいのか?」という疑問が強くなっていきました。会社としてのビジョンや世界観がデザインに反映されず、どこを向いているのか分からないまま、統一感のない成果物が増えていく。このままではいけないという焦りが、次第に大きくなっていったんです。

—そうした現状を打破するきっかけとなったのは、どのような出来事だったのでしょうか。

大倉

弊社代表の牧田から声がかかったことが、大きな転機となりました。牧田としても、社内に統一感がないことに同様の課題意識を抱き、CDO(Chief Design Officer)のようなポジションがこの会社にも必要ではないかと考えていた時期だったようです。

当時はちょうど、企業ブランディングの一環としてCDO職への注目が高まり、関連するセミナーも多く開催されていました。そうしたセミナーのひとつに「一緒に行かないか」と声をかけられたことがきっかけで、初めてしっかりと話す機会を持つことができました。

その場で僕は、以前から抱えていた課題感を率直に伝えました。GMOイエラエはセキュリティ企業ではありますが、合併を経て異なる文化や価値観を持った人たちが集まっており、組織としての一体感がない。共通言語がない状態では、デザイナーだけでなく他職種においても離職が続いてしまう。これは早急に対処すべき問題ではないかと。

会話を重ねるなかで、牧田も同じ危機感を抱いていたことが分かり、「やるしかないよね」と、話は非常にスムーズに進みました。これは単なるデザインの話ではなく、会社としての“軸”を定義し直す話なんだ、とお互いに共有できた感覚がありましたね。

共通の課題意識が、組織づくりを見直す大きな一歩につながった。

バラバラな組織に共通言語をつくるために

—気持ちが固まったあと、最初に取り組まれたのはどのようなことだったのでしょうか。

大倉

ブランドを定義していくにあたり、まず「ブランドマネジメント室(BM室)」を立ち上げることが決まりました。メンバーは僕と若手デザイナー2名、そしてもう1人、合併前の株式会社ツードッグス出身で、ブランドコンサルタントの経験を持つメンバーでした。

こうしてBM室が始動したあと、最初に掲げた目標は「半年以内に会社としてのミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を策定する」というものでした。合併後のGMOイエラエがひとつの組織としてまとまっていくために、目線をそろえる必要があると考えたんです。

第一歩として着手したのは、今いる人たちの価値観や認識を正しく知ること。合併前の会社ごとに文化や働き方、プロダクトに対する考え方がまったく異なる状況だったので、まずは徹底した社内ヒアリングを行うことにしました。

MVV策定に向け、ブランドの本質と向き合いはじめた頃の思考を語る。

大倉

そこからは、合併元それぞれからキーパーソンを選び、12名ほどに個別インタビューを実施しました。想像はしていたものの、出てきた意見は実に多様で。

GMOイエラエでセキュリティ事業を担ってきた人たちは、「セキュリティで世界を守る」「グローバルで戦える組織に」という牧田の力強いビジョンに共感していました。一方で、OHAKOやツードッグスなど、クリエイティブ領域にいたメンバーは、「表現や体験の質にもっとこだわりたい」といった志向が強かった。同じ会社にいながらも、目線も言葉もまったく異なっているということを、あらためて痛感しました。

そうであればやはり、「これがうちのブランドです」とトップダウンで決めるのではなく、まずは多様な価値観を受け止め、共有できる土台を探るところから始めなくちゃなと。ブランドマネジメントの設計とは、“上から掲げる旗”をつくることではなく、“足元に共通言語をつくること”なのだと、強く感じたのを覚えています。

後編につづく

バラバラだった組織に共通言語をつくる。その挑戦は、単なるブランド構築にとどまらず、組織そのものの在り方を問い直す営みでもありました。

後編では、「GMOイエラエらしさ」を可視化し、浸透させるための取り組み、そして自らを“ウイルス”と称しながら変化を仕掛けていく覚悟に迫ります。

インタビュー後編は以下からご覧ください!
変化を起こす異物になれ。デザイン文化を育て続けるという覚悟

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【インタビューVol.2 後編】動き出した“横断連携”。UX改善から対外発信まで、組織を変えたデザイナーたちの実装力 https://developers.gmo.jp/cultures/64397/ Thu, 08 May 2025 00:00:46 +0000 https://developers.gmo.jp/?p=64397

※こちらはデザイナー・クリエイターインタビュー連載【後編】になります。
GMOインターネットグループが今年4月から開始した、年間を通してデザイン・クリエイティブの発信を強化する施策「Creator Synergy Project」の取り組みとして、本ブログでもデザイナー・クリエイターへのインタビュー連載をスタートしています!
[前編]デザインで組織を動かす。GMO全社横断クリエイティブ改革の始まりに続き、「クリエイターシナジー会議」会議の議長を務める近藤さん・現場実行の中核を担う岡本さんのお二人に、プロジェクトをどう動かし、仕組みとして定着させていったのかを掘り下げていきます。

「UXチェックリスト」を共通言語に、全社を巻き込む

—GMOインターネットグループ全体への課題感が高まるなかで、社内的にはどのような取り組みが進められたのでしょうか?

岡本

着手したのは、「UXチェックリスト」でした。これは、各サービスのUXを点数化して評価するチェックシートで、GMOインターネットグループ内の各社に配布し、「この項目で○点以上を目指しましょう」とスコア管理する仕組みです。年末には進捗確認のタイミングも設け、全社的な取り組みとして展開しました。

背景には、やはりGMOインターネットグループ内における温度差がありました。会社ごとに事業ドメインや組織体制が異なり、デザイナーが常駐している会社もあれば、そもそもデザイナーがいない会社もある。そうした環境の違いは前提として、「最低限ここだけは押さえよう」という共通指針が必要だと感じたんです。

岡本 くる美|GMOメディア株式会社 サービスデザイン部 部長 / GMOインターネットグループ エキスパート(デザインマネジメント)

2014年に新卒でGMOメディアに入社。入社後はポイ活サイト「ポイントタウン」のデザイン業務全般を担当し、そのノウハウをもとにGMOリピータスの立ち上げに参画。約5年間にわたりリードデザイナーとしてポイントサイトの構築・運用に携わった。2021年からは横断型デザイン組織「サービスデザイン部」の責任者として、DesignOps全般を担いながら、採用活動やチームの技術支援、組織マネジメントなどに従事している。2025年4月よりGMOインターネットグループ エキスパートにも着任し、デザインマネジメント領域における広報活動や、グループ横断での組織づくりに貢献し活動の幅を広げている。

岡本

議論が始まったのは2023年の1〜2月頃。有志メンバーで週1回、毎回19時から夜な夜な集まって議論を重ねました。

悩んだのは、「理想をどこまで現実に落とし込むか」。あまりに高い水準を求めても現場は動けないし、かといって基準を下げすぎると意味がない。そのうえ、実行者が必ずしもデザイナーとは限らないため、「誰にでも伝わる内容」であることが求められました。

「この項目はわかりやすいかな?」「実行者がデザイナーじゃない場合もあるから、もっと噛み砕こう」といったやり取りを重ねながら、細部まで丁寧にすり合わせていきました。最終的に完成したのは、4〜5月頃だったと思います。

—曖昧になりやすいUXについて、客観的な指標を設けるのはかなり難しかったのでは。

岡本

その通りです。たとえば、最初に入れた項目のひとつが「デザイン組織があるかどうか」でした。私たちデザイナーにとっては自然な表現でも、非デザイナーの方には「“デザイン組織”って何?」「デザイナーが1人いればOKなの?」と伝わりにくかった。

また、レイアウトやビジュアルデザインに関する「整列」や「強弱」といった基本原則も、言葉だけではなかなか理解されづらい。そこで、「こういう状態が“整列”です」「これは“強弱”がない例です」といった図解を用意して、視覚的に補足しました。

さらに、「デザインプロセスが標準化され、文書化されているか」といった項目も、抽象的に受け取られがちな内容です。これも、「ワークフローにこうしたステップが含まれていて、それが明文化されている状態が“標準化”です」といった補足資料も整備しました。

チェックリストをつくるうえで、抽象度の高い項目については特に設計が難しかったですね。それでもなお、判断がぶれないように、可能な限りガイドラインを整備。「なんとなくの印象」ではなく明確な評価基準に沿って判断できるように設計しました。

GMO Developers Day 2023 岡本さん登壇セッション「デザイン横断組織PJの立ち上げから、PJで策定した「UXチェックリスト」について

近藤

あれは本当に難しかったと思います。特にプロセスや仕組みに関する項目は、そもそも「チェックすらできない」状態の会社もありました。チェックリストはデザイナーだけで完結できるものではなく、組織全体の連携があって初めて機能するもの。やる気以前に、体制やリソースの問題で対応が難しい会社もあったと思います。

近藤 貞治|GMOインターネットグループ株式会社 グループ管理部門統括 グループクリエイティブ部 部長

GMO入社前はクリエイティブエージェンシーにてグラフィック・Webのデザイン制作に従事。インハウスでの経験を求め、2010年にGMOメイクショップへ入社。デザイン戦略部マネージャーとして、プロダクトやコミュニケーション領域のデザイン制作・管理を手がける。2019年にGMOインターネットグループへ転籍し、グループ全体のブランドマネジメント活動を担当し、全社横断のクリエイティブ強化プロジェクト「クリエイターシナジー会議」の議長も務める。

近藤

モチベーション上の課題もありました。いくら意義のある取り組みでも、現場からすると「今すぐ取り組むべき課題」とは見なされないこともあって。実際、提出期限ギリギリまで動きが見えない会社もありましたね。

岡本

それでもなんとか進められたのは、「担当役員を明確にした」からでしょうね。現場主導だけだと、どうしても優先順位が下がってしまいます。でも、役員案件となれば社内での注目度が一気に上がる。「どれだけ忙しくても後回しにはできない」と判断してもらえました。

ちなみに、このチェックリストが単なる評価ツールではなく、役員と現場が会話するきっかけ、いわば「コミュニケーションツール」としても活用されたのは、嬉しい誤算でしたね。

GMOインターネットグループの本気を社外に伝えていくために

—2023年は、対外的な発信強化やUXチェックリストの導入など、デザイン組織の基盤を整える年だったかと思います。これらを受けて、2024年にはどのような取り組みをされたのでしょうか?

岡本

2023年はさまざまな取り組みを行いましたが、内側の感覚としては「まだまだこれからだ」という気持ちが強かったです。大事な一歩ではあったものの、それだけでは採用にもつながりにくいし、「GMOインターネットグループが本気でクリエイティブに取り組んでいる」という姿勢が、外からはまだ見えていない。なんとかして“見せる場”をつくることが必要だよね、という話になったんです。

そこで動き出したのが、より外向けのプレゼンス強化。「認知拡大には、やはりイベントへのスポンサーシップが効果的なんじゃないか」ということで、国内最大級のデザインカンファレンス「Designship 2024」にトップスポンサーとして協賛・登壇しました。

[協賛レポート・前編]Designship 2024] /[協賛レポート・後編]Designship 2024 

近藤

ああいう大きな取り組みができたのは、やっぱりGMOインターネットグループとしてのシナジーですよね。これまでは、どうしても「できる範囲のこと」にとどまっていたので。

岡本

そう思います。大きなイベントだっただけに、対外的なインパクトも大きかったですし。ブースに立っていたスタッフからは、「GMOって、こんなに幅広いサービスをデザインしているんですね!」といった声をたくさんいただいたと聞いています。GMOインターネットグループのデザイン力を社外にしっかり伝えられたと実感しました。

併せて各社のサービス紹介も行ったことで、「こんなにたくさんのサービスを展開しているんだ」と驚く声も多くいただいたようです。接触人数など、KPIとして設定していた目標も大幅に達成できて、定量的にも非常に良い成果が出たと思います。

近藤

イベント主催側からの反響も印象的でした。「GMOがこうした活動に本気で取り組んでいる」と認識されて、他のイベントの運営社からも、登壇などの声をかけていただけるようになったんです。まさに、“情報が流れ込むチャンネルが開いた”という感覚でしたね。

岡本

さらにこれと同時進行で、グループ初のデザインコンテスト「GMO DESIGN AWARD」にもチャレンジしました。これは社外、特に新卒や若手クリエイター層を意識した企画です。

近藤

ちょうどこの頃、GMOインターネットグループ全体でも「AI×ロボティクス」を重点領域に掲げた時期だったこともあり、「AI×笑顔と感動の創造」をテーマに、「AI×デザイン」に本気で向き合っていることを社外に向けて発信しました。GMOインターネットグループが次の時代にどう向かおうとしているのか、その一端を示す場にしたかったんです。

岡本

部門は「プロダクトアイデア」と「ビジュアル表現」の2つ。応募のハードルを下げるために「AIを活用していればOK」という条件にして、かなり間口を広く設計しました。学生部門も設けて、若手クリエイターが参加しやすいよう工夫しましたね。

賞金もかなり大きくて、最優秀賞は100万円、優秀賞は各40万円(最大4作品)、入賞は5万円。「GMOって面白いことをやっている会社なんだ」と思ってもらうための、長期的な関係づくりの入り口として企画しました。

「GMO DESIGN AWARD 2024」結果発表!最優秀賞は童話のIFストーリーを楽しめる「もしも童話」に決定

近藤

「GMO DESIGN AWARD」も、GMOインターネットグループのシナジーを強く感じた取り組みのひとつでしたよね。どうしても最初は遠慮が出てしまって、もう少し小規模な施策になるかなと思っていたのですが、「やるなら思い切って行こう」ということで、しっかり形にできたと思います。

「Designship 2024」も「GMO DESIGN AWARD」も、GMOインターネットグループとしての姿勢を外に打ち出せた、象徴的な出来事でした。

続けること、積み重ねること。その先に“ブランド”はできあがる

—少しずつ全社を巻き込みながら広がってきた「クリエイターシナジー会議」の取り組みですが、2025年以降はどのように展開していきたいと考えていますか?

近藤

ここまでの歩みは、確かに意義のある取り組みだったと思います。でも、僕たちにとってはまだ通過点。「デザイナーのプレゼンスを上げる」「GMOインターネットグループ全体のクリエイティブの質を底上げする」—この目標に対しては、まだまだこれからです。

ゆくゆくは、「GMOのデザイン、すごいよね」と自然に言われるくらいの存在感を目指して、いろんな手段を模索していきたいですね。

岡本

私は、まずは「続けること」が一番大事だと思っています。昨年の活動を、今年も、来年も、当たり前のように継続できる組織でありたい。

そして今度は、ようやくGMOのデザインに興味を持ってくれた人たちをがっかりさせないよう、プロダクト側の品質もしっかり提供していかなきゃいけない。ここまでやって初めてクリエイティブのブランド価値が高まっていくと思っています。

—お二人を見ていると、それだけのエネルギーがあるなら、デザイン会社を立ち上げたり、起業したりもできそうだと感じます。あえて「組織」にいる理由は?

近藤

個人的な話をすると、もともと制作会社にいた頃から「デザインの力で社会にインパクトを与えたい」という気持ちが強くて、インハウスに転向したんです。

そして今、GMOインターネットグループというスケールの大きな環境の中で、まさに「より多くの人に影響を与えられている」と実感しています。この規模感と裁量を、他の組織で得るのはなかなか難しい。だからこそ、ここで挑戦することに意味があると感じています。

岡本

私も近い感覚です。個人で何かを立ち上げたとしても、ここまでのスケールでの結果はなかなか生み出せません。GMOインターネットグループという企業資源を使って、より大きなインパクトを生み出せることが、私にとってすごく面白いんです。

近藤

本当に、「ただデザインしているだけじゃ得られない経験」がたくさんありますよね。苦労も多いですが、それも含めて面白い。

—説得力のあるお言葉です。そんなお二人が、今一緒に活動している仲間たちに期待することは何でしょうか。

岡本

この取り組みを、“追い風”として前向きに楽しんでもらえたらと思っています。最初から「GMOインターネットグループ全体を盛り上げたい」といった大義名分がなくても構いません。結果的に参加するメンバーが増え、活動自体が自然と広がっていけば十分です。「この活動に関わっておいたほうが、自分たちや自社にとってプラスになりそうだな」といった、ある種の打算的な動機でもまったく問題ないと思います(笑)。

近藤

まさに、そこがポイントですよね。「デザイナーの力を見せてやるぞ」くらいの気持ちで関わってくれる人が増えたら、きっともっと面白くなっていく。その熱やうねりが、所属している会社だけでなく、GMOインターネットグループ全体にも変化をもたらしていくはずです。

少し大きな話になりますが、GMOインターネットグループのブランドは、まだまだ構築フェーズです。

でも、だからこそ「今」が一番面白いタイミングなんじゃないかと。この瞬間に「ブランドを一緒につくっていける」というのは、個人のキャリアにとっても大きなプラスになるはずです。これからが一番楽しい!そんな気持ちで、ぜひ一緒にやっていきましょう。

岡本

GMOインターネットグループ全体は非常に大きな組織ですが、各社は中小企業のようなフットワークの軽さがあり、個人の裁量も大きいところも多いです。つまり、「いいとこ取り」ができる環境なんですよね。
さまざまな事業ドメインの中で、価値観の異なる人たちと出会い、協働できるのも、この環境ならではです。

近藤さんもおっしゃったとおり、GMOインターネットグループにはまだまだこれからの余地が残されています。でも、だからこそ「デザインの力で組織や社会を動かしていきたい」という想いを持つ人にとって、これ以上ないフィールドだと思います。一緒に挑戦できる日を、楽しみにしています。

「デザインの力で組織と社会を変える」――その想いを胸に、今この瞬間を“最高の挑戦のタイミング”と語るお二人。

インタビュー前編はこちらから
デザインで組織を動かす。GMO全社横断クリエイティブ改革の始まり

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【インタビューVol.2 前編】デザインで組織を動かす。GMO全社横断クリエイティブ改革の始まり https://developers.gmo.jp/cultures/64200/ Thu, 08 May 2025 00:00:35 +0000 https://developers.gmo.jp/?p=64200

※こちらはデザイナー・クリエイターインタビュー連載【前編】になります。
GMOインターネットグループが今年4月から開始した、年間を通してデザイン・クリエイティブの発信を強化する施策「Creator Synergy Project」の取り組みとして、本ブログでもデザイナー・クリエイターへのインタビュー連載をスタートしています!
第2回目は、GMOインターネットグループ内のクリエイティブ責任者たちによる横断組織「クリエイターシナジー会議」にフォーカスします。
会議の議長を務める近藤貞治さんと、現場実行の中核を担う岡本くる美さんのお二人に、会議の立ち上げから現在地までを語っていただきました。

危機感から始まった、GMOインターネットグループ横断型会議体の立ち上げ

—お二人は「クリエイターシナジー会議」などを通じて、GMOインターネットグループ全体のクリエイティブを強化する取り組みを進めていらっしゃるんですよね。

近藤

はい。「クリエイターシナジー会議」は、GMOインターネットグループ内の各社クリエイティブ責任者が集まり、ナレッジ共有や取り組み方針のすり合わせを行う、全社横断の会議体です。

発足は2022年度の下半期。「GMO全体のクリエイティブ力を底上げしよう」という趣旨のもと立ち上がりました。

GMOインターネットグループには110社以上の企業がありますが、その中からクリエイティブ組織を担う各社の代表が集まり、月に2回のペースで定期的に会議を行っています。現在の参加メンバーは約30名、参加企業は19社。まだまだ発展途上ではありますが、少しずつ確かな動きになってきた手応えを感じています。

近藤 貞治|GMOインターネットグループ株式会社 グループ管理部門統括 グループクリエイティブ部 部長

GMO入社前はクリエイティブエージェンシーにてグラフィック・Webのデザイン制作に従事。インハウスでの経験を求め、2010年にGMOメイクショップへ入社。デザイン戦略部マネージャーとして、プロダクトやコミュニケーション領域のデザイン制作・管理を手がける。2019年にGMOインターネットグループへ転籍し、グループ全体のブランドマネジメント活動を担当し、全社横断のクリエイティブ強化プロジェクト「クリエイターシナジー会議」の議長も務める。

近藤

会議の目的は、大きく3つあります。1つ目はデザイナーのプレゼンス向上。2つ目はGMOインターネットグループ全体のクリエイティブ力の底上げ。3つ目が、優秀なデザイナーの採用強化です。

これらの目的に向けて、「どのようにアクションするか」「どう連携を深めるか」といった議論を、定例会を通じて重ねています。

根底にあるのは、サービスのクリエイティブやユーザー体験の質を高めること、そして“ものづくりの担い手”の価値を組織の中でしっかりと位置づけていくこと。制作に関わる人たちの力を最大限に引き出すことで、GMOインターネットグループ全体の競争力を高めたいと考えています。

—「クリエイターシナジー会議」における、近藤さんと岡本さんの役割分担は?

近藤

僕は「議長」という立場で、全体の舵取り役を担っています。会議の方針整理や社内との交渉、経営層とのコミュニケーション、年間予算の確保など、運営面全般が主な役割です。

実際のプロジェクトは、テーマごとに分科会を立ち上げて進めています。それぞれの課題に合わせたチーム編成を行い、現場で具体的に動いてくれているひとりが岡本さんです。

岡本

ありがとうございます。私はときに上層メンバーとして、分科会の立ち上げや企画にも関わっています。

中でも多いのは、会議で「こんなことをやろう」と決まったあと、それをどう実行に移すかというフェーズの役割です。具体的には、方針に沿って必要なメンバーに声をかけたり、運営設計を整えたり。決まった方針をどう実行していくかに注力していますね。

「GMOペパボだけじゃない」隠れたデザイナーたちの声が、連携のきっかけに

—「クリエイターシナジー会議」の立ち上げ前、2022年頃のGMOインターネットグループ内の雰囲気はどのようなものだったのでしょうか?

近藤

正直なところ、当時はGMOインターネットグループ内の“縦割り感”がかなり強かった印象があります。それぞれの会社にデザイナーチームは存在していたものの、クリエイター同士の横のつながりはほとんど無かったと思います。

GMOインターネット社はインターネット社、GMOメディア社はメディア社で完結、といった具合に、会社ごとに“独立した島”のような状態だったんです。各チームがそれぞれ独自にイベントを開いたり発信したりはしていましたが、全体としての一体感はほとんどなかったですよね。

岡本

そうですね。GMOインターネットグループに属する会社ごとに、認知度の差もかなり大きかったです。私の所属するGMOメディアなどは、比較的小さな組織ということもあり、あまり認知されていなくて。GMOペパボだけが抜きん出て目立っている状況でした。

社外どころか、他のGMOインターネットグループ内の会社からも「デザイナーさん? ああ、GMOペパボさんの?」と言われることが多くて(笑)。「いや、GMOペパボ以外の会社にもデザイナーはいますよ」と、毎回そこから説明していたんです。

岡本 くる美|GMOメディア株式会社 サービスデザイン部 部長 / GMOインターネットグループ エキスパート(デザインマネジメント)

2014年に新卒でGMOメディアに入社。入社後はポイ活サイト「ポイントタウン」のデザイン業務全般を担当し、そのノウハウをもとにGMOリピータスの立ち上げに参画。約5年間にわたりリードデザイナーとしてポイントサイトの構築・運用に携わった。2021年からは横断型デザイン組織「サービスデザイン部」の責任者として、DesignOps全般を担いながら、採用活動やチームの技術支援、組織マネジメントなどに従事している。2025年4月よりGMOインターネットグループ エキスパートにも着任し、デザインマネジメント領域における広報活動や、グループ横断での組織づくりに貢献し活動の幅を広げている。

近藤

認知の偏りは、採用活動にも影響していました。採用面談で応募者に「知っているGMOのサービスはありますか?」と聞くと、数あるサービスの中で返ってくるのはたいてい「GMOクリック証券」や「GMOあおぞらネット銀行」、あとは「minne byGMOペパボ」や「SUZURI byGMOペパボ」といったあたり。今もまだ課題は残っていますが、当時はもっともっと顕著でしたね。

岡本

悔しかったですよね。本当はもっと幅広いドメインで、たくさんのサービスを展開しているのに……。

そこで、「GMOインターネットグループにはデザイナーがたくさんいるんだぞ!」と知ってもらいたくて、相談したのが橋口さん(※)でした。そのまま橋口さんが旗振り役となり、「会社間でもっと情報を共有して、シナジーを生み出していこう」という趣旨でスタートしたのが、「クリエイターシナジー会議」だったんですよね。

※GMOインターネットグループ株式会社 グループ専務執行役員・CBO 橋口 誠氏

近藤

当時はまだ、「クリエイターシナジー会議」という名前すらなかったですけどね(笑)。謎の集まりというか。感覚としては、「気づいたら呼ばれていた」みたいな雰囲気でした。

岡本

参加メンバーも14人くらいでしたね。今のように全体スローガンもなく、あくまでも“情報共有の場”としてのスタートでした。各社の取り組みを1社ずつプレゼン形式で持ち寄って、「それ、いいね」「うちでもやってみようか」といった具合に、ナレッジを交換し合う場というか。

—GMOインターネットグループ全体としてクリエイティブを強化していくうえで、「各社がそれぞれ尖っていこう」ではなく、あえて「横で連携しよう」と考えた意図は?

岡本

背景にあったのは、エンジニア組織における「技術広報(DevRel/Developer Relations)」チームの存在です。エンジニアサイドは以前から、全社横断での情報発信や勉強会、イベントなどを活発に行っていました。そうした取り組みを見て、「デザイナーもちゃんと連携していこう」という機運が自然と高まっていったように感じます。

そして、もともとは各社が“草の根”で取り組んでいた勉強会やイベントに、GMOインターネットグループ全体として支援を加え、横のつながりを強化していく流れが生まれていったんです。

GMOインターネットグループのDevRelが目指す取り組み
未経験からの技術広報—GMOインターネットグループ 8か月の奮闘記

近藤

当時は、グループ内でしっかりとしたデザイン組織を持っている会社のほうが少なかったですからね。「デザインはアルバイトや外注に任せれば十分でしょ」とか、「エンジニアのお手伝い」くらいにしか見られていない現場もありました。一方で、経営に深く関わるデザイナーがいる会社もあって、温度差がかなり大きかったと思います。

岡本

私がいたGMOメディアでも、デザイナーとの距離感は「デザインの関わる範囲はお任せします」といった感じでした。専門領域としてリスペクトしてくれていたからこそ、あえて口を出さない関係に落ち着いていたのだと思います。

ただ、その分、デザイナーが熱意を持って取り組んでいることが伝わりにくく、もどかしさを感じる場面もありました。場合によっては、“いろいろ好きにやっている部門”みたいに見られていた節もあったと思います。

近藤

でも今は、ようやく「デザイナーをちゃんと評価していこう」という空気が、GMOインターネットグループ全体に芽生えてきました。全社的なスローガンのひとつとしてデザインに関する内容が掲げられるようになったのも、まさにその流れ。スローガンによって「後ろから支えてもらえている」と実感できる場面も増えてきたように感じます。

営業優位の組織文化に風穴を開けたい

—そうしてスタートした「クリエイターシナジー会議」は、どのようにして大きくなっていったのでしょうか?

岡本

手探りで会議を進めていたなかで、当時の議長だった方から、「GMOインターネットグループ全体でもっとチャレンジできることはないか」という提案がありました。

近藤

「クリエイティブのプレゼンスをもっと高めたい」という想いが、会議メンバーの間でも徐々に共有されていった頃ですよね。僕たちの熱意を汲み、GMOインターネットグループとしても後押ししてくれる雰囲気が出てきました。

ターニングポイントとなったのは、2022年12月に開催された「GMO Developers Day 2022」。ここで初めてクリエイティブ系のセッションが設けられました。登壇したのは、当時の議長と、GMOサイバーセキュリティ byイエラエのデザイン責任者。テーマは「クリエイティブリードの実践、クリエイターが活躍する組織とは?」というものでした。

GMO Developers Day 2022|クリエイティブリードの実践、クリエイターが活躍する組織とは?

岡本

あのセッションをきっかけに、全体の意識が高まったと思います。それだけでなく、「GMOには“ちゃんとしたデザイナー”がいて、デザイン組織としてもきちんと機能している」というメッセージを、外部に向けて発信する最初の一歩になりました。

近藤

それと並行して、GMOインターネットグループ全体として「サービスの品質を高めていこう」という方針が強まってきて、UI・UXの改善にも取り組んでいこうという話になったんですよね。

岡本

そう記憶しています。背景にあったのは、当時のGMOインターネットグループに対するデザイナーたちの率直な問題意識でした。正直なところ、当時はかなりマーケティング優先の組織で、有名サービスのクリエイティブでさえ、「これは本当にデザイナーが作りたかったものなのか?」「数字を優先しすぎていないか?」と疑問に思う場面が多々あったので。

近藤

以前は営業主導のカルチャーが色濃くて、「数字を取るために仕方なくこうした」というケースも多かったと思います。

GMOインターネットグループは、これまで営業力やスピードで成長してきた側面があり、それ自体を否定するつもりはありません。ただ、「すべてを数字で判断するのではなく、ユーザーが本当に幸せになれるサービスをつくるべきだ」という意識を、もっと広げていきたいという思いが高まってきて—。

デザイナー・クリエイターの環境を変えるために挑み続けた日々――その想いと歩みを熱く語る二人

後編につづく

サービスの質を変えるだけでは終わらない。目指すのは、組織そのものを変えていくこと。

デザイナーたちの課題意識から立ち上がった「クリエイターシナジー会議」は2023年以降、「UXチェックリスト」の導入を皮切りに、GMOインターネットグループ全体での共通指標づくり、対外発信の強化、そして未来の仲間との接点を生み出す取り組みへと、徐々にその活動の範囲を広げていきます。

後編では、現場の積み重ねを“全社の動き”へとつなげていった軌跡と、組織を横断するデザイナー集団がどのように育っていったのか、そのリアルに迫ります。

インタビュー後編は以下からご覧ください!
動き出した“横断連携”。UX改善から対外発信まで、組織を変えたデザイナーたちの実装力

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【インタビューVol.1 後編】“創るだけ”を超えていけ。GMOインターネット 丸山清人が語る、事業を動かすデザイナーとは https://developers.gmo.jp/cultures/interview/63209/ Mon, 14 Apr 2025 01:00:46 +0000 https://developers.gmo.jp/?p=63209

GMOインターネットグループが今年4月から開始する、年間を通してデザイン・クリエイティブの発信を強化する施策「Creator Synergy Project」の取り組みとして、本ブログでもデザイナー・クリエイターへのインタビュー連載をスタートしました!
[前編]「これが上場企業のクリエイティブ?」疑問から始まった、自走できるデザイナー組織づくりの旅に引き続き、今回は[後編]としてGMOインターネット クリエイティブ部の丸山清人さんが理想とする“提案できるデザイナー集団”についてお話を聞きました。

キラキラの裏で思った。「現場が育ってなきゃ意味がない」

—エグゼクティブリードに就任されるまでには、どんな歩みがあったのでしょうか?

丸山

2013年の入社当初は「ConoHa byGMO」や「GMOアプリクラウド」のデザインを担当し、グラフィックや映像を中心に手がけていました。しかし、「お名前.com byGMO」のキャンペーンでビジュアルを担当したことをきっかけに、グループ横断の案件にも携わるようになったんです。「.shop」や「Z.com」のロゴ制作、GMOクリック証券の看板制作なども任せてもらえるようになり、いつの間にか「GMOインターネットグループ全体に関わるデザインの仕事をしている人」という立ち位置が定着していきました。

そうした取り組みを評価していただいた結果、当時のクリエイティブ職としては異例のスペシャリスト評価を受け、シニアデザイナーに昇格しました。
後進を育てる立場になったことで、プレイヤーとして手を動かすだけでなく、勉強会や講義を通じて自分の考えを言語化していくことを意識するようになりましたね。デザインにおける「質と量」の話を仲間に伝える時間も、自然と増えていったと思います。

丸山 清人|GMOインターネット株式会社 ドメイン・クラウド事業本部 クリエイティブ部 エグゼクティブリード

高校卒業後に米国サンディエゴへ留学。帰国後、テレビ業界でADを経験したのち、広告代理店にてデザイナー/アートディレクター/映像ディレクターとして活躍。GMOインターネット株式会社にジョイン後は、クリエイティブ部の育成指標の考案や体制構築を手がけながら、ドメインやレンタルサーバー・ホスティングなどインターネットインフラ事業のクリエイティブ監修を担う。加えて、セキュリティ関連のデザインや「GMO SONIC」などグループ横断プロジェクトにも幅広く関わる。

丸山

その延長線上で、アシスタントマネージャーという管理職に就くことになり、本格的に組織づくりにも関わるようになったんです。これにより、シニア時代から考えていたことを、新人研修の場などで話す機会も増えていきました。そして、プレイヤーとしての視点と、チーム全体を見る視点の両方を持ちながら取り組む中で、エグゼクティブデザイナー(アシスタントマネージャーと兼務)という役割を担うことになりました。

ところがその後、人事制度が大きく変わり、従来のスペシャリスト評価が廃止されることになりました。プレイヤーとして評価されるポジションがなくなるというのは、現場にとっても大きな転換点でしたね。そのタイミングで、改めて体制をどう設計するかを考えるようになり、現在の役職であるエグゼクティブリードを任されることになりました。

—丸山さんの存在感が増していく過程と並行して、GMOインターネットグループ全体としてもクリエイティブに力を入れていく方針が強まっていったと聞きました。

丸山

はい。ちょうど2023年ごろ、グループとしても「クリエイティブでNo.1を目指す」という方針が明確に打ち出されるようになっていったんです。その後押しもあり、2024年ごろからはデザインコンテスト『GMO DESIGN AWARD』の主催やデザインカンファレンス『Designship 2024』への出展・登壇など、社外に向けた取り組みや華やかな舞台が一気に増えていきました。
Designship 2024 協賛レポート[前編]/[後編]

ただ、個人的には、「このままでいいのかな」という葛藤もあって。

Designship 2024 オープンステージにて登壇

—というのは?

丸山

個人的には、“キラキラしたこと”をやるのは賛成で、デザイナーが自信をつけるための、貴重なアウトプットの場としてすごく前向きに捉えていました。ただ一方で、実態が伴っていないのに表面だけキラキラさせても意味がない、という冷静な自分もいて。

丸山

社外的にはデザインコンテストの主催やイベント協賛など華やかに見える活動をしていたとしても、制作現場が「カッコわるい」ままだと、本末転倒だなと。

やっぱり、まず大事なのは内側—つまり、良いクリエイターが育つ環境や、ちゃんと成長できる仕組みを整えること。それができて初めて、外に向けた活動が輝くんじゃないかと思ったんですね。

「No. 1になろう!」という動き自体はすごく嬉しいし、ありがたい。でもそれに甘えず、「自分たちがもっとちゃんとしなきゃ」と身が引き締まる思いでもありました。

—エグゼクティブリードとして組織を育てる立場だからこその危機感ですね。そこから少し時間が経った今も、同じ心境ですか?

丸山

そうですね。正直なところ、今もまだ「実態は完全には伴っていないな」と感じる部分はあります。
ただ、キラキラした舞台のおかげで、GMOインターネットグループのクリエイターにも、誇れることはあるんだと実感できる機会をいただけたことや、それを仲間と分かち合えたことには大変意味があったと思います。
グループの力で得られた機会を今後どうのように活かすべきか、今も試行錯誤中ですね。

自走するデザイナーをどう育てるか

—実際に現場をリードする立場として、今感じている課題は?

丸山

デザイナーとしての「こだわり」と「事業の成長」を両立させられるようなデザイナーの育成ですね。

正直なところ今もなお、昔ながらの組織構造が残っている部分もあるんです。つまり、「事業部がメインで、クリエイターはそのアシスタント」のような。クリエイターからの提案は業績が重要視されて、なかなか通らない場面もありました。

ビジネスの現場なので、もちろんその考え方は理解できます。ただ、「売れればなんでもいい」という姿勢を、そのまま受け入れるのはちょっと違いますよね。

デザインは本来、使う人にとってやさしく、わかりやすいものであるべき。僕はそういう信念を持っています。かといって、デザインの理想だけを追い求めて、「こっちのほうが美しい」と主張しても、それはそれで意味がない。結果として利益につながるものでなければ、それは“慈善事業”。僕たち自身も、生活が成り立たなくなってしまうんです。

ビジネスとデザイン。両者のバランスをどう取っていくのか。それを考え続ける姿勢こそ、これからのクリエイターに求められるものだと思います。要するに、「自分はクリエイターである前に、ひとりの事業会社の仲間なんだ」と誇りを持ち、その中で「自分に何ができるか?」を問い続けられる人。そういう人が、クリエイティブの力で事業に貢献できるんだと信じていますし、そんな仲間がもっと増えていくと嬉しいですね。

デザインチーム メンバーとの打ち合わせの様子

—そうしたデザイナーを育てるために、今はどのようなことに取り組んでいますか?

丸山

チームづくりにおいて大切にしているのは、まず「どこに向かうのか」を明確にすることです。基本的には、各チームのマネージャーとすり合わせながら、「今年はこういう方向性でいきましょう」と合意を取ることからスタートしています。

大枠では、昨年「2028年までに、どういうクリエイターでありたいか」という5年後のビジョンを掲げました。そこから逆算して、この1年に取り組むべき年次目標を設定。それをチームごとに共有し、チームとして何ができるかを話し合ってもらいます。そして最終的には、各メンバーの個人目標へとブレイクダウンしていく流れです。

丸山

たとえば、今年の重点テーマのひとつは「サービス課題に対する当事者意識とディレクション力の向上」です。

具体的には、「事業部の情報をもとに“お客様目線”で制作できるメンバーを○○%以上にする」や、「サービス成長に必要な情報技術を自ら収集・提案・制作できるメンバーを○○%以上にする」といった数値目標も設定しています。これは、“言われた通りに手を動かす”という従来型のスタイルから脱却し、“自ら提案できるデザイナー”を育てるための取り組みです。

もう一つ、重視しているのは「各サービスのブランドストーリーやカスタマージャーニーマップをビジュアル化する力」です。つまり、サービス課題を自分たちで見つけ、KPIを設定し、クリエイティブでどう解決していくかを自走して考えられるチームへの進化ですね。

こうした目標設定を通じて、将来的には、クリエイターが一定の裁量を持ってサービスを自らの手で高めていけるような状態を目指しています。事業部に任せきりにするのではなく、「この領域はクリエイティブが見ているから大丈夫」と胸を張れる状態が理想形です。

「誰かがやるべきなら、自分がやる」──たどり着いた管理職への道

—「いつまでも現場にいたい」と考えるクリエイターも多いなか、エグゼクティブリードとして奮闘し続けている理由は?

丸山

管理職というポジションに強く憧れていたかというと、正直、そうではなかったと思います。むしろ、自分の中に「こういうクリエイター組織であってほしい」という理想像があって、それを形にしていくうちに、結果的に今の役割に辿り着いたという感覚のほうが近いです。

本当は、誰か他にその役割を担ってくれる人がいれば、「じゃあ任せます」と譲っていたかもしれない。でも、誰もやらないなら、自分がやるしかない。そう思って自然と動き出したのが、マネジメントに関わるようになったきっかけでした。

「ここでやるべきことはすべてやりきった」と思えたときに、もしかしたら次のことを考えるのかもしれません。でも、まだ自分の中には“やるべきこと”が残っている。だからこそ、今もこの場所に立ち続けています。

理想は、“自分がいなくても回るチーム”。その未来をつくるために

—マルチタレントな丸山さんの、今の原動力は。

丸山

綺麗事に聞こえるかもしれないけれど、今でも僕の芯になっているのは、入社時から触れ続けている「スピリットベンチャー宣言」(GMOインターネットグループの企業理念)に掲げられたフィロソフィー。「お客様の「笑顔」「感動」を創造し、社会と人々に貢献する。」ことが使命だと考えているし、それを体現できるメンバーを増やしていけたら嬉しい。

話していて思い出したのですが、実は以前、チームの中で1人退職された方がいたんです。当時はまだ「Excelの仕様書をそのままデザイン」していた時代で、僕としてはじれったさがありながらも、「まあ、今は仕方ないよね」と、どこか淡々と受け止めてしまっていました。

でも、その方が退職する際に、「もっとデザインを教えて欲しかった」と言って去っていったんです。その言葉を聞いて初めて自分が、向上心があるデザイナーをみすみす逃してしまったことに気付きました。ああいう方がもう去って行かないような、そして、新たな仲間として入ってきてくれるような組織にすることが、管理者としての目標ですね。

強いデザインは、強い組織からしか生まれない。だからこそ、クリエイターが自分の意志で動き、事業に向き合える土壌をつくること。それもまた、クリエイティブの一部だと僕は思っています。「チームの一員として、何ができるか」を問いながら、クリエイターがもっと自由に、もっと主体的に動ける場所をつくる—それが、今の僕の役割です。

組織づくりを推し進める傍ら、今もなおクリエイターとして現場にて活躍されている
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【インタビューVol.1 前編】「これが上場企業のクリエイティブ?」疑問から始まった、自走できるデザイナー組織づくりの旅 https://developers.gmo.jp/cultures/interview/63193/ Thu, 10 Apr 2025 00:00:32 +0000 https://developers.gmo.jp/?p=63193

GMOインターネットグループが今年4月から開始する、年間を通してデザイン・クリエイティブの発信を強化する施策「Creator Synergy Project」の取り組みとして、本ブログでもデザイナー・クリエイターへのインタビュー連載をスタートします!
記念すべき初回は、GMOインターネットでクリエイティブ組織を牽引する丸山清人さんへのインタビューとなります。
丸山さんは、イベントのアートワークからセキュリティ、ドメイン、レンタルサーバーなどの自社サービスまで多様なプロジェクトに関わりながら、“提案できるデザイナー集団”の育成に力を注いでいます。
現場とチームの両輪を動かす、その思考と実践に迫ります。

多様な領域を横断しながら、チームとクリエイティブを支える

ー丸山さんは現在、GMOインターネット株式会社で非常に幅広い業務を手掛けられているそうですね。

丸山

大きく分けると、自分で手を動かす業務、制作を進めながら他メンバーを監修する業務、そしてチーム全体のマネジメント、この3つを軸に動いています。

グループ横断のプロジェクトで言うと、代表的なのは「GMO SONIC」のアートワーク全般。ほかにも、最近ではネットセキュリティ系のプロジェクトにも関わっていて、24時間無料で使える総合診断サービス「GMOセキュリティ24」の構成やワイヤーフレーム設計など、全体の制作に携わっています。

自社(GMOインターネット)のプロダクトだと、「お名前.com byGMO」「ConoHa byGMO」「GMOとくとくBB」など。直近では「ホテルレビューン byGMO」や「GMO GPUクラウド」など、これまであまり触れてこなかった領域にも少しずつ取り組むようになりました。

丸山 清人|GMOインターネット株式会社 ドメイン・クラウド事業本部 クリエイティブ部 エグゼクティブリード

高校卒業後に米国サンディエゴへ留学。帰国後、テレビ業界でADを経験したのち、広告代理店にてデザイナー/アートディレクター/映像ディレクターとして活躍。GMOインターネット株式会社にジョイン後は、クリエイティブ部の育成指標の考案や体制構築を手がけながら、ドメインやレンタルサーバー・ホスティングなどインターネットインフラ事業のクリエイティブ監修を担う。加えて、セキュリティ関連のデザインや「GMO SONIC」などグループ横断プロジェクトにも幅広く関わる。

丸山

GMOインターネットグループで扱うサービスにはtoCもtoBもあり、事業領域はかなり広めです。すべてに深く入り込むというよりは、広く浅く見ていくスタイルになっているのがもどかしい面もありますが、視野が広がるという点では成長を実感しやすい環境ですね。

組織のマネジメントも担っていて、現在は約40人のチームを見ています。その中で、個々のメンバーがより力を発揮できるように、体制づくりや指標設計にも取り組んでいます。

「勉強したくない」で渡米、テレビADで底力を養う

ーそんな多彩な丸山さんのキャリアヒストリーに迫っていきたいと思います。丸山さんは高校を卒業したあと、アメリカでデザインの基礎を学ばれたんですよね。キャリアの“初手”で留学を選ばれたのはなぜですか?

丸山

勢いもかなりあったんですけど(笑)。もともとは、大学に進むか専門学校に行くかを迷っていたんですよ。ただ、当時の自分は「勉強」そのものに対してあまり前向きじゃなくて。普通の勉強はしたくない。専門学校のほうが、興味のある分野に集中できるんじゃないかと思いました。

でも、その学校の卒業制作などを見ると、自分が目指したいレベルとちょっとギャップがあって……。ここに進んでも、作りたいものが作れるようにならないんじゃないか。そう思ってしまったんです。

じゃあ、どういう進路を選べばいいか。その頃ちょうど、留学経験のある友人や知人が周囲にいたので、色々と話を聞いてみました。すると、留学にかかる学費自体は、日本の専門学校とそんなに変わらないらしい。もちろん渡航費はかかるけど、トータルで見るとそんなに大きな差じゃないと。それだったら、海外で学んだほうが自分にとっても刺激になるし、可能性も広がるかなと感じました。


ーまさに度胸ですね。そのままアメリカに滞在せず、日本に戻ってこられたのは?

丸山

「もうそろそろ帰ってもいいかな」と感じたのが理由です。学生ビザでは就労に制限もあるし、このまま親からの仕送りで生活するのも違うんじゃないかと。日本食も恋しかったし(笑)、一度帰国して仕切り直そうと考えました。

テレビ業界に入ったのは、強い志があったというよりも、「映像の分野にも今のうちに触れておこう」という気持ちからでした。デザインだけを究める道もあったのかもしれないけれど、映像にも興味があったし、自分にとっては未知の領域だったので、とにかく「やってみよう」と思って飛び込んだ感じですね。

担当したのはテレビ番組の制作、いわゆるAD(アシスタントディレクター)でした。キツい生活ではありましたが、社会人ってこういうものなんだ、というベースを築けたのは、間違いなくあの経験のおかげです。いわゆる底力みたいなものは、あの時期にしっかり身についた気がします。

なんでも屋時代を経て、デザイナーとしての道が始まった

ーそこからデザイナーの道に進まれたのは?

丸山

担当していた番組の中で、たまたま、会社を経営されている方と知り合ったんです。先輩ぐるみで親しくさせていただいたのですが、僕のほうが先にテレビ業界を辞めてしまって。アルバイトで食いつないでいたら、その先輩から「〇〇さんの会社、デザイナーが辞めるらしい。探してるって言ってたから、どう?」と声をかけてもらいました。僕がデザイナーとしてのキャリアを本格的にスタートさせたのは、そこからです。

—転職先は、どのような職場だったんですか?

丸山

本当に小さな会社でした。だから「デザイナー」といっても、電話番もやるし、アンケート集計もやるし……いわゆる“なんでも屋”でした。

様々な業務を幅広く任せていただける環境はありがたかったですが、デザイナー兼アートディレクターのような立場で、すべてを自分で完結させるような制作スタイルもまた、成長に限界がありそうだと感じるようになりました。

「やっぱり一度、クリエイティブディレクターがいるような環境で学び直さないと、デザイナーとして大成できないかもしれない」。そんな懸念が拭いきれず、今度はデザイナー組織がきちんとある会社に、再び転職をしました。

代理店時代 CM制作スタッフと

—3社目での仕事は、どんな経験になりましたか?

丸山

ある種、答え合わせのような感覚でしたね。これまで自分が見よう見まねでやってきたことに対して、他のデザイナーたちはどう考え、どうつくっているのか。それを現場で体感し、検証していくような時間でした。一方でアイデア出しのプロセスなどでは、「こうやって考えるんだ!」という新しい発見も多くて、すごく勉強になりました。

デザイナーとしての視野が広がり、「自分のやってきたことも、意外と通用するんだな」と自信がついた2年間でした。

「これが上場企業のクリエイティブ?」疑問から始まった役割の自覚

—そうした経験を経て、GMOインターネットへの転職につながっていったわけですね。

丸山

そうですね。代理店でさまざまな経験を積んで、自分の実力もある程度見えてきた中で、「やっぱり自分は、サービスやプロダクトを広めるだけでなく、成長そのものに関われるような仕事がしたい」という思いがはっきりしてきたんです。そうなると、やはり代理店よりも、事業会社のほうが向いているなと。そんな思いがあって、GMOインターネットを選びました。

面接を受けたときのことは、今でもちょっと印象に残っています。「うちで作っているチラシです」と何点か見せていただき、感想を求められたのですが、正直なところ「これが上場企業のクリエイティブ?」と驚いた部分もあって(笑)。もっとグラフィック的に洗練されているものを想像していたんですが、実際の制作物を見て、「これはこうした方がいいんじゃないか」と、結構たくさんフィードバックしてしまったんです。

でも、それが逆によかったのかもしれません。「自分にもできることがある」と思えたし、ここなら、これまで積み重ねてきた経験やスキルが活かせそうだなと感じました。

“言われた通りに作る”から、“提案するデザイナー”へ

—GMOインターネット入社後、最初に取り組んだことは?

丸山

それまでのGMOインターネットでは、事業部のマーケティング担当がExcelで構成を組んで、「ここにこの文言、ここにこの写真を入れてください」といった仕様書を作り、それをもとにデザイナーがPhotoshopやIllustratorで形にするというワークフローが基本でした。

つまり、マーケ側が企画や設計を担い、デザイナーは指示どおりに手を動かす、というスタイル。今であれば、AIに取って代わられるような仕事の進め方かもしれません。

それに対して自分が行ったのは、「指示された成果物に加えて、必ずそれ以外の案も出す」というやり方でした。「こういう方向性もありますよ」「こうするともっと良くなりますよ」と提案することで、デザイナーとして事業へ貢献できることを示していきました。

当時、事業部のマーケティング担当者が作成した原稿(左)を元に、伝えたいことを最大限生かせるように作ったフライヤー(右) 

—新しい提案のスタイルに対して、周囲の反応はいかがでしたか?

丸山

基本的にはポジティブでした。たとえば、動画に関しても「これくらいなら作れますよ」と提案することで、以前は事業部側が単独で進めていたようなコンテンツ制作も、連携しながら進めていけるようになりました。

そのぶん、スピード感が落ちた面もあるのではと多少の申し訳なさを感じることもありましたが……それ以上に、質を上げるための動きとして前向きに受け入れてもらえていたと思います。

実際、こうした働きかけが評価され、アシスタントマネージャーへの昇格に繋がりました。その後も、企画段階から関わる提案スタイルを継続するなかで、当時のクリエイティブ職としては珍しい形でスペシャリスト評価をもらい、シニアデザイナー、エグゼクティブデザイナーといったポジションへと昇進することができました。

このような人事評価をもらった事実にも表れているように、デザイナーが単なる制作担当にとどまらず、「何を作るか」の段階から関わる存在であるという認識が社内に根づいていったことは、自分にとっても大きなターニングポイントだったと感じています。

後編につづく

現場を動かすだけでなく、組織そのものを変えていく。
丸山さんが目指しているのは、“成果を生むチーム”をデザインすることでした。
後編では、自律的なデザイナー集団をどう育てるのか——組織開発とリーダーシップのリアルにフォーカスします。

インタビュー後編は以下からご覧ください!
“創るだけ”を超えていけ。GMOインターネット 丸山清人が語る、事業を動かすデザイナーとは

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新卒1年目初受賞!社内アワード「生産性向上No.1部門」最優秀賞に輝いた若手エンジニアに迫る https://developers.gmo.jp/cultures/44550/ Tue, 04 Jun 2024 01:00:00 +0000 https://developers.gmo.jp/?p=44550

今回は、2023年度新卒入社し現在2年目となった井本優哉さん(GMOインターネットグループ株式会社/システム統括本部所属)にインタビューを行った様子をお届けします!

井本さんは今年、新卒1年目で初めて社内アワード「生産性向上No.1部門」最優秀賞を受賞しました。どのようなプロジェクトを成し遂げたのでしょう?その挑戦や、裏側にあった努力について詳しく伺いました。

プロフィール

井本 優哉さん
GMOインターネットグループ株式会社/システム統括本部 アプリケーション開発本部 ホスティング・クラウド開発部 アプリケーション共通チーム

大学では情報通信学科でアプリ開発を経験し、2023年度新卒入社。北九州オフィス「GMO kitaQ」(所在地:福岡県北九州市)にて、現在はDevSecOps, AWS運用/自動化業務、 RPA開発、 CICDツール機能追加、 クラウド化に伴う開発/技術支援/ツール導入などに幅広い業務に取り組む。今年3月、新卒1年目で初となるシステム統括本部アワード「生産性向上No.1部門」最優秀賞を受賞。

システム統括本部アワードとは

GMOインターネットグループ株式会社のシステム統括本部で年に1回行われる表彰イベント。GMOインターネットグループ全体で年に1回実施される『GMO AWARDS』では評価されにくい定常業務など、業務の質に対して個人を表彰するもの。他者や自チームからの推薦を基本とする。候補者は本部全員に向けてプレゼンをし、部内全員の投票で最優秀者を決定する。


プロジェクトとその功績

早速ですが、今回アワードで受賞されたプロジェクトについて教えてください。どのようなプロジェクトが評価され、井本さんはどの部分を担当されましたか?

井本さん

2023年に大幅な工数削減を達成した2つのプロジェクトをご評価いただき、GMOインターネットグループシステム統括本部アワードにて「生産性向上No.1部門」最優秀賞を受賞させていただきました。
 
1つ目は「RPA活用 PRJ」で、GitHubリポジトリ作成の自動化を実現しました。要件定義から開発、導入まで1人で行いました。もう1つは「AWS関連自動化」でクラウドアクセスの権限管理をするといったもので、こちらも導入効果検証から開発・運用まで1人で行いました。
結果として月に12,800分の作業時間を削減することに成功し、今回評価いただいたという形です。

チームではなく、井本さん1人で行ったのですね

井本さん

はい。2023年10月からRPA活用プロジェクトにジョインし、業務で困っていることや効率化できることがないか探していました。その中で、GitHubへの移行の関連ツールを開発しました。これまで案件を開始する際はお話をいただいて実施するという流れでしたが、今回は自ら問題を見つけて案件を発案し、開発から導入まで自主的に実施しました。
 
以前はAWSの環境に入って作業をしたり、複数の工程を必要としていましたが、Slackを活用することで業務を効率化しました。結果、それまで約1時間半かかっていた作業を、1分半程度にまで短縮することができました。

井本さんが月12,800分削減を実現したプロジェクト

◆GitHubリポジトリ自動作成:9,600分/月削減
◆クラウドアクセス権限管理:3,200分/月削減

 
◇「RPA活用 PRJ」GitHubリポジトリ作成自動化
  削減時間:9,600分/月, 作成期間:10日
  担当:案件発案~開発/導入(井本さんのみ)
◇「AWS関連自動化」Guardian開発
  削減時間:3,200分/月, 作成期間:約1か月
  担当:導入効果検証~開発/導入/運用(井本さんのみ)

※12,800分=213時間=8.8日

素晴らしいですね!受賞に至るまでの苦労や挑戦、何か乗り越えたことなどはありましたか?

井本さん

「AWS関連自動化」の方では、既存のAWSツールをカスタマイズしようとしたのですが、技術スタックの違いからコードリーディングとカスタマイズに時間がかかりました。また、本番環境に関連するツールだったため、監査の面でも注意する必要がありました。監査の知見がなかったため、社内の方々に確認しながら慎重に進めました。結果的にはクリティカルな問題は発生せず、微小な変更で対応できたのですが、初めて監査を意識したフローを構築し、わかりやすく説明する資料作りやプレゼンテーション力が求められたので、そこは大変だったかなと思います。

意識しているのは体系的な学び

当社の『GMOすごいエンジニア支援制度』の『学ぼうぜ』を活用していると伺いました。どのように活用し、井本さんの成長にどう役立っていますか?

GMOすごいエンジニア支援制度とは

GMOインターネットグループ株式会社のエンジニア・クリエイターを対象とした福利厚生施策。エンジニア・クリエイター一人ひとりに「スペシャリスト」として、モチベーション高く技術力向上に励み、優れたサービスの開発に努めていただくことを目的とする、複数の支援プログラムで構成される制度。
そのうちの1つが『学ぼうぜ』プログラムであり、技術関連の書籍や最新ガジェットの購入、有料の外部セミナーへの参加費などを補助するもの。モチベーション向上や、自ら考え積極的にスキルアップに取り組むことを支援する。詳細はこちら

井本さん

技術書の購入と、DeepL Proの定期購入で利用させていただいています。足元で詰まった時にというより、体系的に学びたいと思った際に購入しています。
 
学んだ内容を業務でアウトプットしたり、Developersブログに投稿したり。面白かったものは、チームメンバーに定例の中で共有したりしています。

井本さんが今まで学ぼうぜ制度で購入してきた書籍

技術書はどのくらいのペースで利用しているのですか?

井本さん

購入のタイミングはバラバラなのですが、早ければ1日引きこもって1冊読み切る時もあります。GMOインターネットグループのデベロッパーエキスパートで、同じチームに所属する成瀬さん(成瀬 允宣)の書籍は内容が難しかったので、2週間くらいかけて読み切りました。毎日少しずつ読んで理解して、ということを繰り返しやって落とし込みをしました。
 
技術書は値段が高いものが多いので、会社の制度で購入できるのは金銭的な負担は減りましたが良い意味でプレッシャーはあります(笑)業務に活かしたいと思いますし、還元できることはしていきたいなと思います。また、先輩からお勧めしてもらった本などを、一旦買って読もう!といったことができるのが有難いです。

井本さんの努力を身近で見ているチーム全体の士気も高まりそうですね!

井本さん

どうでしょうか(笑)チーム全員レベルが高いので、全然先輩たちの足元にも及ばないです。

朝活からはじまる1日

段の1日のスケジュールを教えてください。

井本さん

毎朝6時くらいに起きています。会社から家までの距離が近いので、出勤の準備をするまでの3時間強は、技術書を読んだり、勉強したりキャッチアップの時間に充てています。 

とある日のスケジュール


6:00-  起床後、読書等勉強
10:00- 出社
11:30- 朝会
11:45- 作業の認識合わせのミーティング
12:00- ミーティング
13:00- お昼休憩
14:00- 開発作業
19:00  退勤

早く起きて朝の時間を活用されているのですね。

井本さん

はい。キャッチアップの時間は朝に行って、退勤後はゲームをしたり自分のプライベートの時間に充てています。

福岡⇔東京 遠隔のコミュニケーションで気を付けていること

仕事の中で、気を付けていることや工夫していることは何ですか?

井本さん

早めにアウトプットを出すことを意識しています。
私は「GMO kitaQ」オフィス(北九州市小倉北区)で勤務しており、他のチームメンバーはほとんどがセルリアンタワー(東京都渋谷区)で勤務しています。そのため、案件を始める際には、Zoomだけのコミュニケーションに頼らないようにしています。
案件の説明を受けた後、まずは簡単にアウトプットを出すか、自分で概念図のようなものを作成し、「こういうことであっていますか?」と早めに確認するようにしています。

以前はコミュニケーションの部分で反省することが多かったため、自分の中で改善しようと決意しました。聞く人がすぐ隣にいない状況なので、報連相や早めのアウトプットを心掛けています。

将来は技術で尖ったエンジニアに

将来的にどのようなキャリアを築いていきたいですか?

井本さん

長期的には、成瀬さんのようなエンジニア組織全体に貢献したり、社内外でしっかり知名度のある存在になっていきたいです。先日、成瀬さんが大学に行って講義をしている姿を見学させて頂いたのですが、生徒たちと一緒に楽しみながらも真面目に講義をされていて、かっこよかったです。
今のところマネジメントにはあまり興味が無くて、もっと技術的に尖っていきたいと思っています。人材の採用や育成にも興味があって、将来的に貢献していきたいなと思っています。機会があれば登壇などもしてみたいです!

新卒へのメッセージ 意欲的な姿勢が成果を生む

同じように新卒で入社する後輩たちへのアドバイスがあれば教えてください。

井本さん

2点あって、まず1点目は、どんどん手を上げていってほしいなということです。今回アワードで受賞できたのも、自分で「これをやりたい」と手を挙げたからこそです。何もしていなかったら、受賞できていなかったと思います。自ら手を挙げて、しっかりアウトプットを出した結果、最優秀賞を頂くことができたので、どんどん手を挙げていってほしいなと思います。

2点目は、キャッチアップする姿勢を常に持ち続けていて欲しいということです。
新しい技術がどんどん出てくるというのもありますが、キャッチアップすることで面白いプロジェクトを任せてもらえるチャンスも増えますし、開発スキルなども向上してやれることが増えて、楽しく仕事ができるようになってきます。また、エンジニアにとっても良い組織ができてくると思うので、学びの姿勢を忘れず、常に新しいことに興味を持って取り組んでいってほしいなと思います。

井本さんが仰ると説得力がありますね!ありがとうございました!


おわりに

▼井本さんの投稿記事もぜひご覧ください。

▼GMOインターネットグループ株式会社の採用については、以下をご覧ください。
  https://recruit.gmo.jp/rookies/entry/

撮影協力:成瀬允宣

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第1期生 新卒エンジニアが語る!「新卒年収710万プログラム」採用への挑戦と、現在の働きについて https://developers.gmo.jp/cultures/43374/ Mon, 01 Apr 2024 05:00:59 +0000 https://developers.gmo.jp/?p=43374

GMOインターネットグループは、2023年度入社の新卒採用から、グループ企業106社において「No.1&STEAM人財採用〜新卒年収710万プログラム」を開始しました。このプログラムは、GMOインターネットグループをリードする「次世代リーダー」として、年収710万円(2年間)をお約束するものです。

今回は、「新卒年収710万プログラム」第1期生である二人の新卒エンジニアに、採用までの経緯や、現在の働き方、そして将来のビジョンまで、本音も交えて話しを聞きました。「応募に対してハードルを感じても、ぜひ挑戦してほしい」と話す二人の真意に迫ります。

「No.1&STEAM人財採用~新卒年収710万プログラム」とは?

▼「No.1&STEAM人財採用~新卒年収710万プログラム」公式サイト
https://www.gmo.jp/710program/

GMOインターネットグループが、2023年度入社の新卒採用から、グループ企業106社において開始した「No.1&STEAM人財採用~新卒年収710万プログラム」。

このプログラムは、高度な専門知識や技術を持つことに加え、既存の枠組みに捉われない自由な発想で新しい事業やサービスを生み出す、優秀な人財に対して年収710万円(2年間)をお約束するものです。

GMOインターネットグループ全体で、2023年度は27名 の新入社員に「新卒年収710万プログラム」を通して入社いただきました。

二人とも博士課程卒!新卒年収710万プログラムで活躍するエンジニアにインタビュー

そんな新たなプログラムについて、「採用までの道のり」や「現在の働き方」が気になる方も多いのではないでしょうか。

今回は、「新卒年収710万プログラム」第1期生として、GMOインターネットグループに入社した新卒エンジニア、杜博見さん(GMOインターネットグループ株式会社 所属)と、黒宮寛之さん(GMOペパボ株式会社 所属)に、インタビューを行いました。

杜さんと黒宮さんの二人とも、大学院の博士課程を修了し、研究活動を続けてきた共通の経歴があります。インタビューでは、これまでの研究活動に関してや、「新卒年収710万プログラム」採用までの道のり、現在の働き方、将来のビジョンまで聞きました。

杜博見さん|GMOインターネットグループ株式会社 グループ研究開発本部 AI研究開発室 データ解析・AI研究グループ
東京大学大学院 工学系研究科にて電気系工学を専攻。 博士後期課程を修了後、「新卒年収710万プログラム」の第1期生として、2023年4月にGMOインターネットグループ株式会社に入社。現在はグループ研究開発本部・AI研究開発室に所属し、データサイエンティストとして、グループ横断のプロジェクトで技術支援、開発、解析を担当。

黒宮寛之さん|GMOペパボ株式会社SUZURI事業部 マーケティングチーム
京都大学大学院 情報学研究科 博士後期課程を修了後、「新卒年収710万プログラム」の第1期生として、2023年4月にGMOペパボ株式会社に入社。
現在はSUZURI事業部にて、エンジニアとして従事。

杜さんは東京大学大学院の工学系研究科を、黒宮さんは京都大学大学院の情報学研究科を卒業し、博士課程を修了されていますが、これまでの研究活動について教えてください。

杜さん

東京大学大学院 工学系研究科では電気系工学を専攻して、風力発電における風車の異常検知に関する研究を続けてきました。風車の状態を示すセンサーからの時系列データ、温度、湿度、風速などの環境データを分析し、長期にわたる重大な故障を予測する、といった研究です。データ分析や機械学習に関しても、強い関心を持っており「できる限り幅広く学びたい」という想いがあり、大学院で研究を続けていました。

私は京都大学大学院 情報学研究科で教育工学を専門とする研究室で研究をしていました。より細かくいうと「ラーニングアナリティクス」という分野を専攻していたのですが、主に学習者のログデータを分析する研究です。例えば、中学生が夏休みの課題への取り組み方を調査した際、課題を初日に完了する生徒もいれば、徐々に進める生徒もいます。生徒が教材ページを閲覧した日付や、何を正解したかといったデータを収集し、学習パフォーマンスとの相関を分析して教育に活かす研究をチームで行っていました。 杜さんの研究と比較すると、よりウェットな、ユーザーと近いところの研究かもしれません。

黒宮さん

GMOインターネットグループで、新たな領域に挑戦したい

「新卒年収710プログラム」応募から採用まで

GMOインターネットグループの「新卒年収710万プログラム」に応募されたきっかけはありましたか?

日本では、大学院の修士課程が2年間、その後の博士課程が3年間、博士号を得るには一般的に最低5年間の学修期間を要します。それ以降、人によってはそのまま大学で研究を続ける方、企業に就職して研究を行う方、または研究とは異なる分野で企業に就職する方など、様々な進路があります。私の場合、今までの延長線上で研究を続けるよりは、いっそ全く知らない未知の分野に挑戦したいという気持ちが大きく、エンジニアとして企業への就職を選択しました。

もちろん「新卒年収710万プログラム」の存在も就職活動において大きな影響を与えました。実際にエントリーまで至った理由としても、大学院生(修士/博士)を対象とした就職サイトで、初任給が飛び抜けて高い企業として紹介されていたので、興味を持ち、ダメもとで応募してみたのがきっかけです。GMOペパボが提供する「SUZURI」や「ロリポップ!レンタルサーバー」などのサービスは、いちユーザーとして私も利用していて、そうした身近なサービスに関わることができる点も魅力的に感じました。

黒宮さん

杜さん

私は先端技術の実用化を目指すことが目標としてありました。これまで研究で扱ってきた時系列データだけでなく、企業に就職して、画像処理や自然言語処理など、さまざまなデータや幅広い分野のプロジェクトでの経験を積む機会を得たいと考えていました。

実は黒宮さんと同じ就職サイトを使っていました(笑)自身のやりたいことと一致したのが、エージェントさんから勧めて頂いたGMOインターネットグループです。「新卒年収710万プログラム」についても教えていただき、受かるという自信はあまりなくハードルは高いと感じるなかで応募しました。

どのようなプロセスで選考は進みましたか?印象的なエピソードがあれば教えてください!

GMOペパボの選考過程は3回程度の面接といったプロセスで進行しました。他社も何社か応募しましたが、博士課程修了者の場合は新卒ではなく中途扱いのケースもあり、そういった場合面接では研究内容よりも、「具体的に何ができますか?」といった技術的なスキルに関する質問が中心のことも多かったです。

そうしたなかGMOペパボの選考では研究に関する質問を、面接官から積極的に興味を持って尋ねてくれることが多く、すごく好意的な印象を感じました。博士課程修了者は、企業での評価が必ずしも高いとは限らないという懸念がある中で、私の人柄そのものを一生懸命、理解しようとしてくれてところの姿勢が凄く嬉しかったですし、入社の決め手になりました。

黒宮さん

杜さん

黒宮さんが指摘するように、日本では博士課程を修了後、民間企業への就職にハードルがある風潮を感じます。私の場合、相談できる先輩などがおらず、モデルケースも少ない印象でした。博士課程を修了したことで知識と能力は確実に向上しているため、その点はポジティブに捉えていましたが、特別扱いを受けるとは考えていませんでした。

しかしながらGMOインターネットグループ(株式会社)の面接は3回でしたが、2回目の面接で、これまで大学院で行ってきた研究発表と、今後、取り組みたいことに関するプレゼンテーションの機会がありました。一日がかりだったので、今振り返ると、なかなかハードな経験でしたが(笑)。

各社、採用のプロセスが違いますね!選考中に心掛けていたことはありますか?

杜さん

研究について発表した際、発表の仕方を意識しました。大学院での研究発表では新規性を強調することが重要ですが、面接時の発表では、その新規性を「わかりやすく伝える」というアプローチを心掛けました。また企業として求められる収益性や効率化など、具体的な成果に関する話も重視しました。就活全体の話で言うと、企業ごとに評価基準が異なるため、不採用でも、それは単に縁がなかったというケースもあると理解して、次のステップへと進む準備に気持ちを切り替えるなど、次への挑戦を心掛けてきました。

企業グループの理念やビジョンをしっかりと理解するように心掛けました。「GMOイズム【スピリットベンチャー宣言】」を読んで、私が企業に加わることで、どのように自身の強みを活かせるか、企業の理念にどう共感し、それに貢献できるかを考え、それをしっかりと伝えるようにしていました。

黒宮さん

「新卒年収710万プログラム」で採用が決まった時、率直にどう感じましたか?

まさかって驚きました。最終面接はセルリアンタワー(第一本社・渋谷)で社長(GMOペパボ 代表取締役社長 佐藤健太郎)と1on1で、30分ぐらい。ただ割と身の上話で終わって、正直あんまり話が盛り上がったような感触がなくて…これ大丈夫なのか?みたいな(笑)当時、京都に住んでいたので、手応えを感じないまま新幹線で戻りました。なので採用のメールを頂けた時は、ビックリしました。

黒宮さん

杜さん

私は、最終面接でセルリアンタワーに向かうなか、普段と違う駅の出口から出て、道に迷ってしまい、遅刻してしまったという苦い経験をしました・・・。多少の諦めもあったので、採用の連絡を頂いた時は驚きました(笑)

チームメンバーとのコミュニケーションを大切に

採用に至るまでには、さまざまな秘話があったんですね!現在の業務について伺えればと思います。これまでの研究やスキルも活かされていますか?

杜さん

所属するGMOインターネットグループ株式会社のグループ研究開発本部では、グループを横断して、機械学習を用いた金融関連のプロジェクトに取り組んでいます。最新の技術をサービスに取り入れる業務と、最新の技術がどのように事業やサービスに取り入れることができるか、という二つのミッションを担う部署なのですが、最初の半年は、主にLLM(大規模言語モデル)の研究に時間を割いていました。またその研究成果を社内外のイベントに登壇して発表するなどといった事も行っています。私の場合、研究分野は異なりますが、大学院で企業との共同研究も経験してきたため、本質的にはそうした研究と近しく感じておりました。ビジネスではスピードや成果が重視されますが、それを除けば、その頃と変わりなく研究や業務に集中できています。

現在はSUZURI事業部でWebアプリケーションのサーバーサイドエンジニアとして従事しており、主にRuby on Railsを使用したプロジェクト開発を担当しています。他にはマーケティング関連のデータ分析業務も行っています。中途採用であれば即戦力としての働きが求められると思いますが、「新卒年収710万プログラム」は新卒採用のため、約半年間のトレーニング期間がしっかりと設けられていたのはありがたかったです。このトレーニング期間を通じて、Webの基本知識からインフラに関するレクチャーまで、エンジニアとしての最低限必要な知識を身につけることができたと感じます。これまで研究でデータ分析を経験してきたため、SUZURIの購買データなどの分析は比較的得意で、即座に対応するとチームメンバーから喜んでもらえました。

黒宮さん

「新卒年収710万プログラム」での入社は、周囲からの期待値も高いと感じます。チームの皆さんとは、どのようなコミュニケーションを取っていますか?

期待値が高いことは自覚していますが、GMOペパボの社風として役職に関わらずフラットにコミュニケーションできる文化があり、みんな気さくに接してもらえるので、そのおかげでプレッシャーを感じずに働けています。入社当初は、大学院時代の習慣が抜けず、堅いフォーマルな連絡をチーム内で送っていました。しかし、初期の段階で「そんなに堅い連絡じゃなくてもいいよ」とアドバイスを受けるなど、自由に意見が言えるコミュニケーションスタイルがビジネスで求められるスピード感につながることを理解してからは、自分もフランクにコミュニケーションが取れるようになりました。

黒宮さん

杜さん

これまでの大学院での研究活動は主に個人で行っていましたが、入社後はチームでのコミュニケーションの重要性が高まりました。私は自然言語処理のスペシャリストではないため、ゼロから学ぶ必要があります。入社してから、2~3名のチームでの研究が多く、その際、経験豊かな先輩から多くを学ぶ機会がありました。

チームの皆さんが非常に優しく、すぐに馴染むことができました。また、これは先輩方が意識的に配慮してくれているのかもしれませんが、自分の得意なデータ分析に専念できるような環境が整えられています。期待されていることは感じながらも、必要以上に大きなプレッシャーはない中で業務や研究に取り組めています。

杜さんは「GMO Developers Day 2023」にて、LLMに関するセッションで登壇も経験

学ぶことも多い時期だと思いますが、今後のキャリアビジョンはありますか?

サービスのデータ活用については、まだ多くの未活用データがあり、それらを有効に使うことができればサービスの質向上につながると思っています。具体的にはレコメンドシステムの改善や、マーケティングにおける意思決定にデータを活用できたらと考えています。

また日々、社内では様々な新しい取り組みが進められており、それに対する結果として、お客様からのフィードバックがデータとなって蓄積されています。これらを研究の枠組みで再構築できるような人財になることが私の今後のキャリアビジョンです。

黒宮さん

杜さん

私は幅広い知識を持ち、総合的に活用できるデータサイエンティストを目指しています。正直なところ、入社してから、より勉強への意欲が高まっているんです。博士課程では自分の研究分野における小さな改善を評価し、それを論文にする作業を繰り返していました。今、新しいAI技術やLLMが流行し始めて、1年間でAIやデータ分析を取り巻く環境が大きく変化したことを感じています。

AIに関わる仕事をしているからといって、AIに代替されないわけではなく、むしろ単純作業やパラメータの調整など、計算資源さえあれば簡単に代替されうる作業が多く存在します。そのため、新しい技術を活用し、AIができないことに挑戦することの重要性を感じています。この状況に対する危機感からも、新しい技術について常に学ぶ必要があることを認識しました。

挑戦する一歩から、価値は生まれている

「新卒年収710万プログラム」に応募を検討している方へ、メッセージをお願いします。

「新卒年収710万プログラム」は新しいことに挑戦しようとする人に向いている制度だと思います。私自身、「新卒年収710万プログラム」をきっかけに人生が大きく変化しました。
大学院で研究していた時は、論文を発表することが最優先でした。しかし企業では、良い製品を作り、顧客の皆さんにお届けすることが最も重要です。新たな方向性に向けて、自分も学び直しの最中です。

そういう意味で「新卒年収710万プログラム」は単に給与が高いだけではなく、自身の成長にも確実に繋がります。しっかりとしたトレーニング期間も設けられているため、ハードルが高いと感じている方も、ぜひ応募してみることをお勧めします。

黒宮さん

杜さん

黒宮さんと同じような話になりますが、採用されるかどうかは別として、最初の一歩を踏み出すこと、挑戦すること自体に意味があります。私自身、やってみないとわからないことがたくさんありました。

面接を受けただけでも、自分にはまだ多くの学びが必要だと感じました。そういう意味でも、失敗を恐れず、体験してみることが非常に重要だと思います。挑戦するその一歩から、すでに価値は生まれています!

先輩からの紹介コメント

「新卒年収710万円プログラム」第1期生、杜さんと黒宮さんから貴重な話を聞きました。最後に、同じチームで働く先輩から、それぞれの活躍や今後に期待することなど、紹介コメントを頂きました!

杜さんへの紹介コメント

片野 道雄さん|GMOインターネットグループ株式会社 グループ研究開発本部 AI研究開発室 室長

新卒1年目とは思えない活躍をしてくれています!現在、グループ研究開発本部で生成AI技術(LLM)を追いかけることになり、入社後の研修内容を途中からLLMの研究開発に切り替えてやってもらったのですが、専門外の技術でもしっかり理解して考え、自身の提案も交えてとても良い研究を進めてくれました。驚いたのは、発表のうまさです。面接時から目を見張るほどに上達し、2023年末には誰よりも堂々と外部発表できるまでになりました! LLM研究開発の次に、難しいAI技術を使うフィンテックのプロジェクトに参加してもらいましたが、データ解析やAI技術・開発の基礎力があり任せられるようになってきています。 今後もこの勢いで更なる飛躍を大変期待しています!

黒宮さんへの紹介コメント

黒瀧 悠太さん|GMOペパボ株式会社SUZURI事業部 事業部CTO 兼 GMOインターネットグループ デベロッパーエキスパート

現在、黒宮さんはSUZURIにおいて、モバイルアプリのサーバーサイド面での開発を推進していただいております。 SUZURIの開発に関して、とても「速(Speed)」があるだけでなく、アイテムのレコメンドやマーケティングオートメーションに関しても、どんどんキャッチアップし、様々な領域で力を発揮していただいています。 これから期待することとしては、事業部外や社外のエンジニアと比較して、何が専門性として強みなのかを言語化し、ペパボの技術をリードしていってほしいと思っています。これからもよろしくお願いします!

「新卒年収710万プログラム」募集について

グループ各社の募集状況については、以下、公式サイトをご覧ください。

▼「No.1&STEAM人財採用~新卒年収710万プログラム」公式サイト
https://www.gmo.jp/710program/


GMOインターネットグループ株式会社とGMOペパボ株式会社の採用については、以下をご覧ください。

▼GMOインターネットグループ株式会社 採用サイト
https://recruit.gmo.jp/rookies/entry/

▼GMOペパボ株式会社 採用サイト
https://recruit.pepabo.com/info/graduate/

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GMOインターネットグループのDevRelが目指す取り組み https://developers.gmo.jp/cultures/42138/ Thu, 28 Dec 2023 03:00:14 +0000 https://developers.gmo.jp/?p=42138

GMOインターネットグループ株式会社では、2019年よりGMOインターネットグループ全体の開発者向けマーケティングを行う「デベロッパーリレーションズチーム(DevRelチーム)」を発足させました。
 
発足当初は少数精鋭だったDevRelチームですが現在では専任メンバー6名と、GMOインターネットグループ株式会社のサービス開発・運用を担うエンジニアやクリエイターなど部門を横断した兼務メンバーを含む17名といった大きな組織で構成され、技術広報活動や採用マーケティング、開発者支援、社会貢献活動を通じた取り組みを行っています。
 
エンジニアとして開発を行いながらDevRel活動を担っている兼務メンバーは「エバンジェリスト」という肩書で活動しています。今回は5名エバンジェリストの皆さんに「普段のDevRel活動」や「GMOインターネットグループだからこそできる取り組みについて」さらに「今後、取り組んでみたいこと」まで話を聞きました。

DevRel(Developer Relations)と、私たちの活動

PR (Public Relations)という言葉はよく耳にするかと思いますが、DevRel(Developer Relations)と聞くと、まだまだ馴染みがない方も多いかもしれません。

DevRelは、Developer(開発者)や開発者のコミュニティ、企業に向けて望ましい関係をつくり出すための考え方および行動として、自社の技術を伝達し、同時にそれらに対する意見や情報を受け入れるための組織と定義されています。

私たちDevrelチームでは、GMOインターネットグループ内外開発者との良好な関係構築・強化を目的に、現在、以下の活動を中心に行っています。

1)技術広報活動や採用マーケティング
2)開発者支援/グループ内エンジニア連携
3)社会貢献活動/次世代IT人材育成支援や教育機関への技術支援など

1. 技術広報活動や採用マーケティング

年に一度GMOインターネットグループの新しい挑戦を紹介するエンジニア・クリエイター向けカンファレンス「GMO Developers Day」や、小規模エンジニア向け勉強会「GMO Developers Night」、また、北九州オフィス「GMO kitaQ」にてサーバー構築・運用に焦点を当てた学生向けインフラハッカソン「DevSecOpsThon at GMO kitaQ」、などのイベントを自社で企画・開催しています。GMOインターネットグループが行う技術的な取り組みをより多くの人に知っていただく取り組みです。

GMO Developers Day 2023
DevSecOpsThon at GMO kitaQ 2023

また「PHPカンファレンス」「iOSDC」などといった外部コミュニティイベントに協賛し、積極的な広報活動を行うとともに、コミュニティ団体や来場者の方々とのつながりを通じ開発者向けマーケティングに生かしています。

JJUG CCC 2023 Fall

イベント活動のほかにも、開発者向けテックブログ「GMO Developers」で定期的に技術情報や活動の発信を行っています。ブログの運用も3年目になり、記事数や閲覧数も徐々に増やしていけるよう仕組みづくりにも力を入れています。

2. 開発者支援/グループ内エンジニア連携

GMOインターネットグループ内パートナー(社員)に対して、セキュリティ知識や技術の習得を目的としたハッカソン「Hacking Night」の実施や、ChatGPTを始めとしたAI技術の学びの場として「AIセミナー」の運営を行うなど、グループ内エンジニア・クリエイターに対するスキルアップの場を提供しています。

Hacking Night#01

また、2023年4月よりスタートした「エキスパート制度」の運用を通じて、エキスパートたちがグループ内で働くエンジニア・クリエイターの新たなロールモデルとなることや、彼らをハブとしてエンジニア・クリエイター同士が横のつながりを強固に持てる組織を目指すべく、活動を支援しています。

3. 社会貢献活動/次世代IT人材育成支援や教育機関への技術支援など

次世代IT人材育成支援や教育機関への技術支援を通じた社会貢献活動としては、渋谷区教育委員会と渋谷に拠点を置くGMOインターネットグループ、東急、サイバーエージェント、DeNA、MIXIの5社で行う「Kids VALLEY 未来の学びプロジェクト」を2019年より推進しています。

Kids VALLEY 未来の学びプロジェクト

他にも、2023年には九州大学・北九州市立大学・長崎県立大学にて学生のデジタル・情報リテラシーの向上にむけた講義を本格的に開講するなど、自治体・地域団体と連携して次世代を担うIT人財の育成を目指した取り組みを進めています。

なぜ必要か?DevRelが注目されるワケ

GMOインターネットグループは、ドメインからセキュリティ、決済までビジネスの基盤となるサービスをご提供するインターネットインフラ事業を主軸に、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業、暗号資産事業を展開する総合インターネットグループです。

お客様に喜ばれるサービスを迅速かつ低価格で提供するために、サービスは機器の選定から設置、構築、開発、運用までを内製化することを基本方針としています。そのため、グループ108社に在籍する7,300名超のパートナーのうち、ITのモノづくりを担う開発者(エンジニア・クリエイター)が49.9%を占めています。(2023年6月末時点)

そうした開発者(エンジニア・クリエイター)のパートナー(社員)の活躍なくして事業は成り立ちません。より深く開発者の皆さんとのつながりをつくることが求められており、DevRel活動の重要性は年々、高まっています。

そこでGMOインターネットグループでは2019年にIT技術の発展を支援するための組織として「デベロッパーリレーションズチーム(DevRelチーム)」を発足させました。デベロッパーリレーションズチームでは、現在、専任・兼務合わせて様々な職能を持つ17名のメンバーが活躍しています。

▼デベロッパーリレーションズ コネクタメンバー
人と人、人とコトを“つなぐ”ミッションを持つコネクタは、主にイベント回りの企画・調整業務や、マーケティング活動を中心に行っています。

▼デベロッパーリレーションズ エバンジェリストメンバー
外部に対する発信、会社の顔となって活躍するミッションを持つ「エバンジェリスト」は、エンジニアとして現場での開発・運用を行いながら、兼務として活動しています。それぞれ開発で携わっている領域の話を中心にイベントでの登壇や、ブログでの執筆等を行っています。

エバンジェリスト5名が語る!GMOインターネットグループのDevRel活動

今回は、5名のエバンジェリストメンバーの皆さんに「普段のDevRel活動」や「GMOインターネットグループだからこそできる取り組みについて」、さらに「今後、取り組んでみたいこと」まで話を聞きました。

成瀬 允宣(GMOインターネットグループ デベロッパーエキスパート)
村上 悠(アプリケーション開発本部 アクセス開発部 とくとくBBプロダクトチーム マネージャー)
中村 槙吾(インフラ・運用本部 システム運用部 運用保守チーム)
梅崎 皓太(インフラ・運用本部  インフラ技術部  ネットワークソリューションチーム)
長谷川 泰斗(インフラ・運用本部 ソフトウェア・仮想化技術部 仮想化技術チーム)

DevRelチームに携わるようになったきっかけと、普段のDevRel活動について教えてください

成瀬

2018年10月にイベントを実施したのが発端で、DevRelチーム立ち上げから関わっています。チームは2019年に本格的に活動を開始しました。

現在はGMOインターネットグループのデベロッパーエキスパートとして、テックカンファレンスへの登壇や、渋谷に拠点を置く企業5社と渋谷区教育委員会が連携した「Kids VALLEY 未来の学びプロジェクト」でPBLを取り入れた探究学習の授業支援を行うなど、幅広く活動しています。

村上

私も立ち上げ当初の2019年始めから DevRelチームに入りました。Devrelに入った記念として上長から、このはちゃん(美雲このは※レンタルサーバー「ConoHa by GMO」の応援団長 )のパーカーを特注してもらいました(笑)。

私と中村さんは、普段、GMOインターネットグループの北九州拠点である「GMO kitaQ」で業務にあたっています。私は「GMO kitaQ」での採用にも携わっていることから、学生向けのイベント企画を立ち上げて実施することが多いです。

北九州市に後援いただいているインターネットインフラハッカソン「DevSecOpsThon at GMO kitaQ」は、サーバー構築・運用に焦点を当てた学生向けハッカソンで2022年より開催しています。そうした次世代を担うエンジニア人財の育成を中心に活動しています。

中村

私や、梅崎さん、長谷川さんは、DevRelチームが立ち上がってしばらく経った2021年5月に入りました。

「DevSecOpsThon」は、所属しているインフラ・運用本部が中心となり実施しているため、企画から運営まで取り組んでいます。それ以外ではインフラエンジニアとして開発業務のなかで得た知見や、興味関心がある技術トピックスに関する記事を執筆しています。

梅崎

私は「ローカル5G」に関する記事を書いて欲しいと上長から言われたのがきっかけで、気が付いたらDevRel チームに参加していました。最近は開発業務がメインになっているため、隙間時間でDevRel活動に参加しています。

長谷川

私は、活動が面白そうだと感じたのがDevRelチームへの参加の決め手です。現在はテックカンファレンスでの登壇や、テックブログでの記事発信を中心に活動しています。

エバンジェリストとしてDevRel活動するなかで意識していることや、活動におけるやりがいはどういう所にありますか?

成瀬

まず自分が楽しいと思うこと、そして常にナンバーワンを目指しています。テックカンファレンスでの登壇であれば、全セッションで1位の満足度や集客数を目指しています。

セッションは開発者と同じ視点を持つので、自分が面白くないと思えば、それは聞き手である開発者にも伝わります。なので「自分が楽しいかどうか」という感覚は大切にしています。

中村

私の場合、2022年に書いた「Selenium」の記事が、たくさんの方に読んでいただけたのがPV数からも実感できました。そうした読者の方からの反響がやりがいにもつながっています。

https://developers.gmo.jp/15591/

梅崎

開発業務にあたりこの技術の解説を記事にしたら面白いんじゃないか?と考えることも多いですね。

長谷川

ブログでの発信は、他の人の役に立つことを目指して書いています。実際に同僚から「(記事が)役に立った」と言われると嬉しいですね。

テックカンファレンスでの登壇ではGMOインターネットグループに興味を持ってもらえるよう意識しています。

村上

初開催の「DevSecOpsThon」(2022年4月)はとても印象に残っています。

初回はサーバー実機を使ったこともあり、中村さんや長谷川さんにも尽力いただいて、開催前日の夜中まで会議室で最終チェックをしていました。こうした自社イベントは本当に皆さんのサポートがあって実現することができています。

GMOインターネットグループだからこそできるDevrel活動

GMOインターネットグループだからこそできるDevRel活動と、やりがいとは?

成瀬

GMOインターネットグループが協賛するテックカンファレンスは、すべてトップスポンサーとして協賛しています。トップスポンサーとしての協賛で、カンファレンスに大規模に携わることができます。

協賛に関しても短期的な成果を求めるのではなく、コミュニティに対する理解と貢献を重視しているため、長くエンジニアコミュニティに寄与できると考えています。

また渋谷区教育委員会や東急など渋谷区の企業4社と連携で実現している「Kids VALLEY」のように教育分野への貢献も積極的に行うなど、幅広く技術コミュニティの発展を支える活動にコミットしており、様々な文脈で貢献できるのは大きなメリットです。

村上

GMOインターネットグループで働くパートナー(社員)のつながりから、九州大学での講義は実現しました。北九州市など地域との連携はもちろんですが、たくさんの働くパートナーのつながりから生まれる新しい活動の機会も、GMOインターネットグループとして信頼を頂けているからこそ実現できていると感じます。

特に「DevSecOpsThon」は他社では真似できない私たちの強みが発揮されたイベントだったと思います。インフラに関する知見はもちろん、北九州市に自前のオフィスで大きな規模のイベントを開催できるスペースもあり、立地も含めて良い環境で学びの機会の提供を実現できました。

先日、学生向けイベント会場で声をかけてくれた学生さんは「DevSecOpsThon」に参加していました。「DevSecOpsThon」の参加をきっかけに、現在、インフラエンジニアとして活躍していることを知りとても嬉しくなりました。ご参加いただく学生さんのレベルも年々上がっていることを実感しており、今後より大きな成果につながっていくことに期待しています。

長谷川

GMOインターネットグループとしての規模が大きいので、多くのイベントに協賛できる機会があるのと、学生さんや他の企業の方など関わりが広がっています。

テックカンファレンスに登壇して面白いと思うのは「ConoHa」などのサービスを利用しているユーザーとリアルで交流できることです。開発者として顧客を知ることができるとても貴重な機会となっています。

梅崎

GMOインターネットグループがインフラとデータセンターへ多く設備投資していることも大きいですね。

最近はアーキテクチャを中心に開発を行っておりデータセンターの設計など、より広範な開発ができている実感があります。開発で得られた知見をストックして、落ち着いたらどこかで話したいと考えています。

村上

これは他社さんから羨ましがられるのですが、イベントでこのはちゃんのパーカーを着ていくと「この子は誰ですか?」と聞かれます。「うちのサービスのイメージキャラクターで…」みたいに説明するのですが、それが会話のフックとなって話が弾んでいきます。

ホスティング・ドメインというと、ややお堅いイメージがありますが、「美雲このは」というキャラクターがいることで、記憶に残りやすくなるみたいです(笑)

成瀬

「Kids VALLEY」の授業支援でも、小学生のみんなは、このはちゃんを使ってプログラム学習していますからね!

エンジニアとしてのキャリアとのバランス

普段、開発業務も忙しいと思いますが、どうバランスを保ちながらDevRel活動に取り組まれていますか

成瀬

テックカンファレンスに登壇するといった外とのつながりは自分の好きなことです。それを会社が業務としてくれることで家庭内でも休日の登壇など承認が得やすくなっています。

表に出るからには夜中まで登壇資料を準備するなどやるべきこともありますが、自分が好きなことだというのが原動力になっていると思います。

村上

私は現在、開発から少し距離があるのですが、自分が表に出て他社のエンジニアとコミュニケーションすることで自分たちのチームを客観的に見ることができたり、学生向け技術イベントで審査員やメンターというところで関わらせていただいたことで逆に刺激をもらっています。

開発に従事しているとなかなか自発的にイベントに行くというのが難しかったりします。なので私が外で得たものをkitaQのメンバーにきちんとフィードバックする。そうした役割としてもDevRel活動が大いに活かされていると思います。

長谷川

GMOインターネットグループとしての規模が大きいので、多くのイベントに協賛できる機会があるのと、学生さんや他の企業の方など関わりが広がっています。

テックカンファレンスに登壇して面白いと思うのは「ConoHa」などのサービスを利用しているユーザーとリアルで交流できることです。開発者として顧客を知ることができるとても貴重な機会となっています。

今後やってみたいこと

最後に今後、取り組みたいことなど教えてください

長谷川

11月に、GMOインターネットグループのエンジニア有志で参加されていた「技術書典」について気になりますね!

エンジニアの間でも「知る人ぞ知る」という感じのイベントだったので、会社の名前が広められたことは珍しいしとても良い機会だったと感じています。

中村

基礎イベントの強化として「DevSecOpsThon」のなかで、「Ops:運用(operation)」のウエイトが大きいため、 「Dev:開発(development)」、「Soc:セキュリティー(security)」のカリキュラムの充実を実現したいですね。

村上

「DevSecOpsThon」は、例年1月から企画がスタートしています。来年に向けて、現在、企画アイデアを出し合っている最中です。次回で3回目の開催なのでコンテンツの見直しなども含めて、より発展させて開催したいと考えています。

梅崎

私は「JANOG(ジャノグ)」(技術的事項やオペレーションに関する事項を議論、検討、紹介する Japan Network Operators’ Groupの略称)にも挑戦してみたいですね。

また大きなイベントはもちろんですが、小規模でカジュアルなイベントを定期的に実施する企画なんかも面白いかもしれません。

ゲーム開発者が動画配信をしていて面白く聞いていました。そうしたゆるいイベント企画も、頃合いを見て取り組んでみたいですね。

成瀬

テックカンファレンスでの登壇では、引き続きナンバーワンを目指していきます!ナンバーワンを取れていない所を取りに行く。スポンサーセッションで満員御礼となるセッションを出していきたいですし、CFPでも戦っていきたいです。

そして好きだからDevRel活動をやっているという部分を変えずに、今後も学生向けの支援活動や、大学での講義も増やしていきたいと思います。

自分が自発的に話したいときこそ最も力を発揮する瞬間だと思います。なので、これからDevrelを目指すエンジニアの皆さんは、ぜひそうした想いで、DevRel活動に取り組んで欲しいですね。

貴重なお話しをありがとうございました。
エバンジェリストの皆さんの活躍に、引き続きご期待ください!

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技育祭2023[秋]登壇レポート https://developers.gmo.jp/cultures/39130/ Thu, 02 Nov 2023 03:00:00 +0000 https://developers.gmo.jp/?p=39130

エンジニアを目指す学生のための​日本最大のオンラインカンファレンス「技育祭2023【秋】」にGMOインターネットグループはトップスポンサーとして協賛しました。

グループ各社からリードエンジニアと若手エンジニアの4名が登壇し「GMOのオールライトニッポン! ​〜若手エンジニアが現場のリアルを語ります〜」と題し、学生のお悩みや質問に回答しました。

はじめに

GMOインターネットグループでは、エンジニアを目指す学生のための​日本最大のオンラインカンファレンス技育祭2023[秋]にプラチナスポンサーとして協賛しました。

GMOインターネットグループ各社から、リードエンジニアと新卒としてグループ入社した若手エンジニア3名が登壇。

グループ4社のコラボ登壇となった「GMOのオールライトニッポン! ​〜若手エンジニアが現場のリアルを語ります〜」では、学生の皆さんからXでセッション中にお悩みを募集して、それらにリアルタイムで回答するといった、インタラクティブなセッションをお届けしました。

今回は「GMOのオールライトニッポン!」に登壇したエンジニアから、セッションを通して感じたことや、セッション内に答えられなかったお悩み・質問への回答、そして学生に向けたメッセージをお伝えします。

イベント概要

技育祭2023[秋]について

技育祭は、GMOインターネットグループも年間協賛している「技育プロジェクト」の1つで、年に2回、春と秋に行われる、「技術者を育てること」を目的としたエンジニアを目指す学生のための日本最大のオンラインカンファレンスです。

技育プロジェクトとは

技育(GEEK)プロジェクト 2023』は2023年3月1日~翌2024年2月29日まで1年間かけて、以下の4つの機会を通してインプットとアウトプットのサイクルを創出して、学生エンジニアに「もの創りの機会」をつくり、キャリアとスキルアップを推進しています。

▼技育祭:年2回(春・秋)開催の国内最大学生向けテックカンファレンス
▼技育展:「もの創り」を展示するピッチコンテスト
▼技育博:「繋がり」を創る交流イベント
▼技育CAMP:月1回のハッカソンや勉強会を年間を通して開催

講演登壇

「GMOのオールライトニッポン! 〜若手エンジニアが現場のリアルを語ります〜

DAY1 / 10月21日(土) 16:20-17:05

◆登壇者
シニアエンジニアリングリード

若手エンジニア(新卒1~2年目)

GMOインターネットグループからリードエンジニアと新卒エンジニア4名が登壇。
入社1年それぞれの過ごし方から圧倒的No.1を目指すグロース戦略はもちろん、就活のハック法や現場で感じたこと、皆さまのお悩みまで本音で答えました。

さらにXで「#GMO悩み相談」でセッション中に質問を募集して、リアルタイムで回答する企画も実施しました。

●自己紹介

「ニックネームで呼び合う」をルールに、和気あいあいとした雰囲気で、セッションが始まりました。

●あるある質問コーナー

エンジニアを目指す学生が、聞きたくなるような質問を9つ準備。
その中から「いま一番、聞きたい質問はなにか?」をセッション中に呼びかけ、学生の皆さまにチャット欄で投票いただきました。

回答した質問

2:「みんなの就活事情」
6:「やらかした!失敗談」
7:「どんなインターンやってる?」

●「#GMO悩み相談」

セッションの後半では、「#GMO悩み相談」と題し、参加者にセッション中にお悩みをXに投稿してもらい、登壇者それぞれが答えたい質問を選びながらリアルタイムで回答する形式で進行しました。

講演内で採用された方には、「ConoHaカード 1,000円」をプレゼント!
就活に関するお悩みはもちろん、さまざまなお悩み・質問が寄せられて、大いに賑わいました。

チャットやXからたくさんコメントをいただくことができ、登壇者らも楽しんで技育祭に参加することができました。

登壇者インタビュー|技育祭2023[秋]を終えて

オンライン視聴者が500名を越えて、大盛況となった「GMOのオールライトニッポン!​​」。
技育祭を終えて、登壇者に話しを伺いセッションの振り返りと、登壇した感想についてお聞きしました。

Q:登壇してみて感じたこと、驚いたこと

登壇してみてどうだったか、率直な感想を教えていただけますか。驚いたことなどありましたか?

くろ

第2弾となった「GMOのオールライトニッポン!」もたくさんの質問をいただくことができ、とても嬉しかったです。

前回に引き続き、2回目の参加者がいたことが嬉しく、チャットやXを活用してセッションを一緒に楽しみ、盛り上がれたかなと思います。GMOのファンになってくれてたら嬉しいですね~

たく

500名近い学生に参加していただき、想像以上に多くの質問をいただけて驚いた反面、すごく嬉しかったです!

社会人になる前でもあり、多くの不安や悩みを抱えている学生がいることを感じました。
自分の学生時代を振り返ってみても、エンジニアとして上手く働けるか、どう成長していけば良いか当時はわからないことが多かったので、今回のセッションで少しでも皆さまの疑問や悩みの良いきっかけに繋がっていたら嬉しいです。

おかぴ

GMOインターネットグループやエンジニアリングに興味を持つ学生の方が多く参加してくださり、非常に嬉しかったです!モチベーションが高い人が多く、質問のレベルも高かったように思いました。

技術だけでなく、ソフトスキルやモチベーションの質問があり、技術に限定せずに高い目標で努力されている方が多いことに驚きました。人によって目指すエンジニア像は異なって当然だと思うので、自分の理想を追求していって欲しいと思います。

はる

zoomのコメントやリアクション、Xへの投稿が活発で、学生が積極的に参加されている印象を受けました。そのおかげで私たちも登壇を楽しむことができました!

2DAYSもある技育祭に参加される積極性な学生でも、エンジニアとして働くことに不安を感じる方もいるんだなと感じました。
こういった機会を活用し、少しでもエンジニアとして働きたい、頑張っていきたいと思っていただけるよう情報を提供し、一緒にエンジニア業界を盛り上げていきたいと思います!

Q:企画「GMOのオールライトニッポン!」について

セッション中にお悩みを募集する、新たな技術セッションとなりました。
企画についてどう感じましたか?どのような気持ちで、当日は臨まれましたか?

くろ

前回と合わせて2回目の登壇でしたが、一緒に登壇した仲間も異なり、新しい意見や考えもある中で自分自身勉強にもなりました。みんなで盛り上げて雰囲気を作り上げることができたと感じています。

たく

グループ各社のパートナーと交流する機会が中々無いので、参加学生はもちろん、参加パートナーにとっても良い企画であり、GMOインターネットグループらしさをお届けできたのではないかなと思います。
当日は、自分が学生の頃不安だったことやエンジニアとして働いている人に何を聞いておくと良かっただろうか、と過去を思い出しながら参加しました。

おかぴ

まだ新卒1年目である自分だからこそ、学生だったころの自分の気持ちを思い出して登壇しようと思いました。
学生の時は、実際に企業ってどういうところなのだろう?という不安を抱えているのも事実なので、学生からのお悩みや質問に対し共感することが多くありました。
こういった場は非常に有意義だと感じましたので、学生に向けて発信できることはしていきたいです。

はる

フランクなトークセッションだったので、あまり緊張することなく普段自分が考えていること・感じていることを話せたと思います。

当日は、聞かれそうな質問に対するざっくりとした答えを考えて、多くの質問に答えられるように臨みました。
40分という時間は少し物足りなく感じ、もっと多くのお悩みや質問に回答できればと思いました。延長戦があるとのことで、是非学生の皆さまに見ていただけたら嬉しいですね!

「#GMO悩み相談」延長戦!

「GMOのオールライトニッポン!」では参加者からX「#GMO悩み相談」で、たくさんのお悩み・質問をいただきました。今回は、当日時間の都合で回答できなかったお悩み・質問を、いくつかお答えします!

Q:入社してからのギャップとかは何かありましたか? 

くろ

あまりなかったです!会社に所属している方のアウトプットを色々と見ていたのが良かったかも知れません。

たく

エンジニア内でのコミュニケーションに留まらず、他部署やクリエイティブの方とのMTGが多くあることに驚きました。

おかぴ

目標を立ててスケジュールを守りながらより高いアウトプットを出すことが求められるので、学生の頃以上に高い自己管理能力が求められます。また、自分の意見や取り組みを論理的に説明できる能力も必要と感じました。

はる

大きなギャップは特にありませんでした。
強いて言うなら、エンジニアは黙々と作業をするイメージでしたが、業務を進めていく上でそれなりのコミュニケーション力は必要だなと感じました。

Q:個人的に最近読んで感動した書籍やサイトを教えてください!

くろ

最近、ConoHaでKubernetes クラスターを組みたいと思っていたので、インターネット上で発見した沢山のサイトにお世話になっております!

おかぴ

ジョン・ウィリアムズ著の「STONER」。アメリカの青年が教師になる小説です。なんてことない日常の中に隠れる小さな幸せやざらざらした不幸せを体験できるユニークな小説です。美しい文体に非常に感動しました。

Q:GMOに入ってびっくりしたことはありますか? 

くろ

外で見ているよりテクノロジーに対して、しっかりと向き合っていること。

たく

福利厚生の一環である「シナジーカフェ GMO Yours」にて、BarTimeでお酒が飲めること!

「GMO Yours」とは働く仲間同士が気軽に集まり交流を図ることができる、コミュニケーションスペースです。ランチタイムにはビュッフェが食べられ、金曜の夜はBarTimeに変身しお酒が飲み放題に!

おかぴ

GMOイズムが代表的ですが、確固たる理念のもとにGMOインターネットグループは成り立っています。普通の会社ならば意識しない細部まで徹底的に意識されているので、最初は驚くかもしれません。

はる

最新技術に対する敏捷性や柔軟性に驚きました。LLMなどの生成AIに関しても、現在のように流行り出す前の初期段階から重要性を認識し、社内への浸透化に努めていた記憶があります。

登壇者それぞれが回答したい、気になる質問をピックアップしました!

Q:社内プレゼンなど、人前で自分の考えをアピールする時に心掛けていることは何ですか!

たく

結論ファースト!
自分が一番伝えたいことを最初に述べて相手に印象付けます。そのあとにスライド等を用いて詳しく説明してます。
GMOインターネットグループの企業理念を明文化した、「GMOイズム」にある「スピリットベンチャー宣言」にも記載があります。

Q:なにか今から4月までやるとしたら、何を皆さんやりますか?

おかぴ

自分で何か1つプロダクトを完成まで作ってみるといいと思います。誰も使わなかったとしても、リリースまで自分でやった経験は大きな自信になるはずです!

Q:GMOさんの現場で競プロは活きますか?

はる

間接的に活きると思います。
例えば、今後AIによる自動コード生成により、アルゴリズムについて意識しなくても現状最速/最適のものを選定してくれるようになるかもしれませんが、それに対する説明性や少し仕様が変わった時の柔軟性などは、アルゴリズムそのものの理解があるのとないのでは大きく異なると思います。

Q:現在16歳です、この先自分が進む道がわかりません。そんな状況の中どんなことを学んでいけばいいのでしょうか?今のうち学んでおいたら役に立つことなどを教えていただきたいです。

はる

16歳ということは高校生の方ですかね。私だったら、数学(線形代数/微分積分)などの理論的な部分の習得を頑張ると思います。プログラミングは大人になってからでも容易に習得できますが、大人になって基礎理論を勉強するのは大変なので。。。あとは、なんでも良いのでアウトプット(成果物を作る)する練習ができれば良いですね。

エンジニアを目指す学生へ

さいごに、これからエンジニアを目指す学生に向けて、それぞれメッセージをいただきました。

くろ

これからも学生生活を楽しみながら、自分がわくわくすることにどんどん挑戦していってください!

たく

春休みや夏休みなどの学生と同じくらいの長期休暇は社会人になると中々取ることが難しくなります。自己研鑽する時間に使っても良いし、友達と遊ぶ時間に使っても良いので一日一日を大切にしてください!

おかぴ

技術を高めるのも非常に大切ですが、学生の時にしかできない経験や時間を大切に過ごしてください。社会人になってからもその経験が必ず生きると思います!

はる

今後はAIの台頭によって、一般的なエンジニアの専門性は下がっていくと考えられます。そんな中で私が重要だと考えるのは、「純粋にものづくりが好き」というマインドです。もちろん最新技術を受け入れて技術研鑽をし続ける必要がありますが、このマインドがあればどのような技術進歩があっても、生き残っていけると思います。

アーカイブ

サポーターズ運営事務局より「GMOのオールライトニッポン! 〜若手エンジニアが現場のリアルを語ります〜」のアーカイブ映像が公開予定です。

公開次第、@GMOdev より告知予定!
まだ見ていない方、もう一度見たい方は是非ご覧ください。

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